2003 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドットの光イオン化を用いた超高感度中赤外光検出器の開発
Project/Area Number |
13555104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 由紀子 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00251463)
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
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Keywords | 量子ドット / 光検出 / ナノ構造 / ヘテロ構造 / 赤外線 / サブバンド間遷移 / トンネル効果 / 単一電子トランジスタ |
Research Abstract |
波長数μmから10μm程度の中赤外光領域は、物理・化学分光、環境計測、リモートセンシング、サーモグラフィー、暗視装置、赤外線天文学など、様々な分野で非常にその重要性を増しつつある。従来、この波長領域では、材料信頼性の低い狭ギャップ半導体が用いられていたが、サブバンド間遷移を用いる量子井戸赤外光検出器が実現され、半導体工学のベースに載るようになってきた。さらに、その欠点を克服し、しかも高感度の赤外光検出を行うために、自己組織化InAs量子ドットを変調ドープ量子井戸に埋め込んだ新しい量子ドット赤外光検出器を提案し、素子の高性能化と量子ドット物性の解明に向けて研究を行っている。 本年度の主な成果は、以下の通りである;(1)量子ドット中のs準位とp準位からの光イオン化スペクトルを測定し、p軌道の波動関数がs軌道のそれよりも空間的に広がっていること、さらにp軌道からの脱出確率がs軌道のそれよりも数十倍程度大きいことが明らかになった、(2)光検出感度の温度依存性を検討したところ、光励起キャリアの寿命が、高温領域では光学フォノン散乱により電子がp軌道に遷移することにより、また低温領域では電子が音響フォノン散乱により濡れ層準位に遷移する過程で支配されていることが明らかになった、(3)感度を極限にまで高める目的で、量子ドットを用いた単一電子トランジスタ(SET)との集積化を目指している。そのための第一段階として、自己組織化量子ドット1個に電極を形成したSET構造を作製し、明瞭なクーロン振動やクーロン梯子特性を観測した。また、クーロン振動の測定より、量子ドットの電子の占有状態が量子ドットの形状や埋め込み状態に強く依存することが明らかになった。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] M.Jung, K.Hirakawa: "Lateral electron transport through single InAs quantum dots"Physica E. 21. 423-425 (2004)
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[Publications] Y.Shimada, K.Hirakawa, M.Odnoblioudov, K.A.Chao: "Terahertz conductivity and possible Bloch gain in semiconductor superlattices"Physical Review Letters. vol.90, No.4. 46806-46809 (2003)
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[Publications] N.Sekine, Y.Shimada, K.Hirakawa: "Bloch Gain in AlGaAs/GaAs Semiconductor Superlattices"Physica E. 21. 858-862 (2004)
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[Publications] Y.Shimada, N.Sekine, K.Hirakawa: "Inter-miniband Resonant Zener Tunneling in Wide-Miniband GaAs/Al0.3Ga0.7As Superlattices Investigated by THz Emission Spectroscopy"Physica E. 21. 661-665 (2004)
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[Publications] Y.Shimada, N.Sekine, K.Hirakawa: "THz emission due to inter-miniband resonant Zener tunneling in wide-miniband GaAs/Al_<0.3>Ga_<0.7>As superlattices"Applied Physics Letters. (印刷中). (2004)
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[Publications] K.Jin, M.Odnoblyudov, Y.Shimada, K.Hirakawa, K.A.Chao: "Terahertz frequency radiation from Bloch oscillations in GaAs/Al0.3Ga0.7As superlattices"Physical Review B. vol.68, No.15. 153315-153318 (2003)
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[Publications] K.Hirakawa, Y.Shimada, M.Odnoblioudov, K.A.Chao: "Dyanamical carrier transport and terahertz gain in semiconductor superlattices"Proc.SPIE Int.Soc.Opt.Eng.. vol.4992. 138 (2003)
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[Publications] N.Sekine, Y.Shimada, K.Hirakawa: "Dephasing mechanisms of Bloch oscillations in GaAs/Al0.3Ga0.7As superlattices investigated by time-resolved terahertz spectroscopy"Applied Physics Letters. vol.83, No.23. 4794-4796 (2003)
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[Publications] 関根徳彦, 島田洋蔵, 平川一彦: "半導体超格子のブロッホゲイン"固体物理. vol.39, No.2. 25-36 (2004)
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[Publications] 平川一彦, 他(分担執筆): "「ナノエレクトロニクス」"半導体量子ナノ構造の赤外光デバイスへの応用""オーム社. 349 (2004)