2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒木 光彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京和泉 宏三 サンテスト株式会社, 技術部・部長
古谷 栄光 京都大学, 工学研究科, 講師 (40219118)
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Keywords | 白内障手術 / 超音波水晶体乳化吸引術 / 前房内圧制御 / 状態予測制御 / サージ現象 |
Research Abstract |
現在,白内障手術の方法として超音波水晶体乳化吸引術が主流であるが,器械の設定や医師の熟練度によっては後嚢破損などの術中合併症を引き起こす危険があり,最悪の場合失明に至る可能性がある.この合併症の原因は,水晶体を吸引除去する際に水晶体によって吸引口が閉塞して陰圧がかかり,閉塞開放時に急激に前房内圧が低下することである.本研究では,このような現象を回避するために前房内圧を能動的に制御する機能を持つ白内障手術装置の開発を目的として,(a)臨床応用可能な制御手法の考案,(b)各手法の前房内圧模擬実験装置における制御性能の確認と検討を行った.具体的には,(a)に関しては,前房内圧を常に一定値に維持する前房内圧一定値制御法と前房内圧の急激な変化のみを制御する前房内圧微分値制御法の二つを考案した.また(b)に関しては,操作入力側にあるむだ時間を考慮に入れて,以上の二つの制御手法のそれぞれを実現する状態予測制御装置を作成し,前房内圧模擬実験装置における制御実験により,それぞれの制御性能の確認および特徴と臨床応用可能性の検討を行った.その結果,次のようなことがわかった. ・前房内圧一定値制御法と前房内圧微分値制御法のいずれも,十分な前房内圧制御性能を持っている. ・前房内圧一定値制御法では,常に灌流を供給する必要があり,制御装置が大型になる.また,通常時と故障時の動作の切替が必要となり,安全性に問題がある. ・前房内圧微分値制御法では,急激な前房内圧変化時のみに制御装置が動作し,制御装置の小型化が期待できる.また,故障時には従来の白内障手術装置の構成と同じになり,安全性の点でも問題がない. ・以上を考慮に入れると,前房内圧微分値制御法が臨床応用に適した制御法である.
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