Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 昭 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (20303670)
葛 漢彬 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (90262873)
伊藤 義人 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30111826)
鈴木 森晶 愛知工業大学, 工学部, 助教授 (90273276)
青木 徹彦 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70064946)
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Research Abstract |
前年度は,水平2方向外力を受ける鋼製橋脚の限界値を検証するための解析的研究および実験的研究を重点的に行った。その際に,平面的なふくらみのある載荷経路に対する実験まで行うことは不可能であった.そこで,本年度は,最も実現象に近似されるふくらみのある平面的な載荷経路を与えた場合の鋼製橋脚の限界値を性能実験により検証し,同諸元を有する解析モデルに対して,解析手法の妥当性を検証すること主目的とした.以下に,本年度の成果をまとめる. 1.昨年度開発された水平2方向外力を入力することのできる実験システムを利用して,鋼製橋脚をモデル化した実験供試体に膨らみを有する水平2方向外力の入力(具体的には,円形や四角形の形状を有する載荷パターン)を行った。その結果,これまでの1方向成分で検討していた鋼製橋脚の限界値を大幅に下回る結果が得られ,これは今後の耐震設計に対して大きな提唱を促す結果となった. 2.上記の結果を受け,構造パラメータ(細長比や幅厚比)の異なる種々の鋼製橋脚に対して耐震検討を行うために,数値解析手法の妥当性を検証した.本研究で用いた解析手法によれば,非常に高精度で,上記実験結果を模擬できることが立証され,実験を行わずとも耐震性能を評価するに十分であることを確認した. 3.上記解析手法を用い,構造パラメータを種々に設定し,様々な載荷パターンに対して耐震性能(限界値)を評価した。その結果,これまでの1方向入力時の限界値算定方法では,十分な説明ができないため,新たな評価方法を開発した.この方法によれば,これまでの1方向外力を受ける場合の鋼製橋脚の限界値から,2方向外力を受ける際の限界値が容易に導ける. 4.上記の結果は,本年度のみではパラメトリック解析の標本数が乏しく,耐震設計時に利用できるほど簡易な限界値の推定式を算定するまでには至らなかった.これは今後の課題として残る. 5.上記までの成果は,主に鋼製橋脚の限界値についての検討であったが,本年度は今後のさらなる発展を見越して,応答値に関しての推察も行った.この応答値の推察には,数値解析手法を用いて行った.その結果,応答値に関しては,1方向入力時よりも非常に大きな応答値が発生することが明らかとなったが,これらの成果は構造形式や造パラメータに依存するところが大きく,今後の検討が必要である.
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