2001 Fiscal Year Annual Research Report
開境界適応型の大気海洋結合波浪推算手法に関する研究
Project/Area Number |
13555141
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安田 孝志 岐阜大学, 工学部, 教授 (10093329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 典明 (独法)港湾空港技術研究所, 海洋水工部, 室長
大澤 輝夫 岐阜大学, 工学部, 助手 (80324284)
小林 智尚 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50205473)
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Keywords | 波浪推算 / 開境界 / Adjoint法 / 大気・波浪・海洋結合モデル |
Research Abstract |
本研究は波浪情報を高精度・高解像度で提供できる開境界適応型大気・海洋結合波浪推算手法の開発を目的とするものである。本年度得られた主要な成果を以下に列記する。 1.波浪推算モデルWAMに、目的変数を開境界上の方向スペクトルとするAdjoint法を組み込んだモデルを構築した。このモデルの適用により、推算精度はAdjointを行わない計算結果に比べて格段に向上し、また波浪推算を行う上で重要な問題となる計算対象領域の大きさは、Adjointを行う限り推算精度向上にあまり影響しないことが明らかになった。 2.Adjoint法によるある地点の推算値は、データ同化を行う観測点のうち最も近傍の観測点のデータに大きく影響され、その点のデータ品質が悪い場合にはむしろ推算精度が悪化することが明らかになった。従って、データ同化に用いる観測点の選定、観測値の品質検査には十分に配慮する必要がある。 3.波浪推算の主要パラメータである海面せん断応力、砕波せん断応力、海面粗度、海面抗力係数を大気海洋相互作用という観点から包括的に算出可能な「大気・波浪・海洋双方向結合モデル」を構築した。このモデルを冬季日本海へ適用し、深海域において砕波せん断応力は風によるせん断応力に比べて無視でき得ること、海洋循環の時間スケールが大気運動や波浪運動の時間スケールに比べてはるかに大きいことなど、このモデルが気象・海象現象を総合的・包括的に判断する上で有効であることを示した。 4.気象、波浪単独モデルと「大気・波浪・海洋双方向結合モデル」の計算結果を比較し、気象予報モデル及び波浪推算モデルの予報・推算精度向上のために海面粗度を動的に評価できる双方向接合モデルは有効であることを示した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 小林智尚, 藤園東弘, 山口羊司, 足立忠行, 安田孝志: "データ同化による波浪推算の高精度化"海岸工学論文集. 第48巻. 211-215 (2001)
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[Publications] 小林智尚, 足立忠行, 水谷英朗, 安田孝志: "大気・波浪・海洋相互モデルの構築"海岸工学論文集. 第48巻. 221-225 (2001)
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[Publications] 小林智尚, 足立忠行, 水谷英朗, 安田孝志: "大気波浪双方向結合モデルの構築"海岸工学論文集. 第48巻. 226-230 (2001)
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[Publications] 川口浩二, 橋本典明, 永井紀彦, 久高将信: "ECHWE風データとWAMに基づく日本沿岸波浪の推算精度に関する検討"海岸工学論文集. 第48巻. 231-235 (2001)
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[Publications] 大澤輝夫, 竹山剛生, 安田孝志: "XY気象モデルと台風ボーガスを用いた伊勢湾台風時の風の場のシミュレーション"海岸工学論文集. 第48巻. 281-285 (2001)
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[Publications] 井坂健司, 安田孝志, 大澤輝夫: "風波下の乱気流境界層の生成発達における砕波の役割"海岸工学論文集. 第48巻. 66-70 (2001)
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[Publications] 安田孝志, 小林智尚, ほか: "新しい波浪算定法とこれからの海域施設の設計法"(社)土木学会. 256 (2001)