2001 Fiscal Year Annual Research Report
自然エネルギーの高度利用を目指した高精度型通風量予測モデルと通風設計法の開発
Project/Area Number |
13555163
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
大場 正昭 東京工芸大学, 工学部, 教授 (90130947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一秀 東京工芸大学, 工学部, 講師 (20329220)
倉渕 隆 東京理科大学, 工学部, 助教授 (70178094)
小林 信行 東京工芸大学, 工学部, 教授 (70097301)
菊地 世欧啓 川本工業(株), R&D本部開発課, 研究員
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Keywords | 通風 / 流量係数 / LES / 流入角 / 風圧力 / 全圧 / 風洞実験 / 風圧係数 |
Research Abstract |
省エネルギーの観点から自然エネルギーを利用した通風システムの利用が積極的に導入されている。しかし、自然風は風向の変化が大きく、開口部に正対しない場合、流入気流は風上面に沿う横風成分の影響を強く受ける。従来のモデルは風圧と室内圧から通風量を求める方法であり、流量係数を風向角に依らず一定とした場合、横風成分が卓越する風向のときに通風量の予測精度が低下する。我々は通風の局所相似性に基づき、横風が強い風向角に対応できる通風量算出モデルを提案した。予測に用いる与条件は風圧、室内圧及び開口部全圧である。通風量が0となる場合、室内圧は開口部の風圧力と等しいことが実験的に検証されているので、室内圧の基準として開口部の壁面風圧を用いた。風洞実験結果から、妨害気流と換気駆動力の相対的強さに基づく通風量算出モデルを用いると、風向角に依らず一意的に開口部の流入特性を表現できることが分かった。開口部位置は、無次元室内圧と流入角の依存関係に影響を与えるものの、その影響は無次元室内圧が零付近での限定的なものとなった。丸型開口と縦長開口は基本開口に比べ、流量係数がやや小さい値となった。 次にLESの計算結果から、風向正面の場合に特徴的な流入気流の下降は、開口部に接近する前半では建物前面下部に形成される循環流による圧力勾配、後半では運動量輸送の影響によることが判った。k-εモデルを用いた場合に、気流の下降が充分に再現されないのは、循環流の形成が不十分であることが原因と考えられ、この点に関するモデルの改善が必要と判断された。開口部を通過する気流のエネルギー変化を分析するために流管形状を同定した。その結果、開口部付近の短い区間での加減速の影響により、この区間の流管形状に大きな変化が生じていることが明らかになった。しかし、開口部到達以前の流管変形に伴う動圧、静圧間のエネルギーのやりとりは全圧に顕著な変化を与えなかった。従って、風向正面の場合の全圧損失は、気流が開口に到達以後に生じるものであり、これは、乱流エネルギー生産項の空間分布とも対応する結果となった。また、風向角45°までは全圧が概ね一定であるが、45°以後全圧が低下する原因は風上コーナーでの気流の剥離に伴うエネルギー生産であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大場, 入江, 倉渕: "通風開口部の流入気流と圧力損失に関する実験的研究"日本建築学会計画系論文集. 552. 21-27 (2002)
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[Publications] 大場, 倉渕.普後, 遠藤, 今井, 倉橋: "通風気流の開口部流入特性と通風量算出法に関する研究 通風量算出モデルに及ぼす開口位置と開口形状の影響に関する検討"2001年度日本建築学会関東支部研究報告集. I. 621-624 (2002)
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[Publications] 遠藤, 倉渕, 大場, 普後, 赤嶺, 鎌田, 新木: "通風気流の局所相似性に基づく開口部の通風性能評価方法の開発(1)"2001年度日本建築学会関東支部研究報告集. I. 625-628 (2002)
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[Publications] 遠藤, 倉渕, 大場, 普後, 赤嶺, 鎌田, 新木: "通風気流の局所相似性に基づく開口部の通風性能評価方法の開発(2)"2001年度日本建築学会関東支部研究報告集. I. 629-632 (2002)
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[Publications] 大場, 倉渕: "通風気流の圧力損失機構と通風量算出法に関する研究 その1 通風開口部の流入特性に関する風洞実験"空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集. II. 597-600 (2001)
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[Publications] 倉渕, 大場, 小橋, 島田: "通風気流の圧力損失機構と通風量算出法に関する研究 その2 LES解析結果の分析と局所相似性に基づく通風量算出法"通風気流の圧力損失機構と通風量算出法に関する研究 その1. II. 601-604 (2001)