2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 幹宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60011128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 誠治 (株)神戸製鋼所, 技術開発本部・生産技術研究所, 所長(研究職)
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Keywords | Cu-Ni-Si系合金 / 粒界割れ / 微量不純物 / 中間温度脆性 / 電子材料用銅基合金 / 微量添加元素 |
Research Abstract |
リードフレームの高強度化の要求に応えて使用の拡大している析出硬化型Cu-Ni-Si系合金における熱間加工時の結晶粒界割れを伴う割れ発生などの問題解決のため、従来の関係研究では検討し得なかった水素を取り上げて他の影響因子合わせ検討を行った。昨年度に引き続いて、不純物として界面割れに関係すると考えられるS、及びHを対象とし、SおよびHと親和力の大きいとされるMgまたは、Zrを添加した合金を作成して、これら合金における水素の挙動および中間温度脆性について検討を行った。 昇温脱離式水素分析によれば、Mgを添加した合金で水素放出量の増加が見られたが放出ピーク位置は無添加合金と殆ど変化が無かった。一方Zr添加合金では無添加合金に見られる放出ピーク位置以外に高温部に水素の放出ピークが観察された。これによればZr添加合金では固溶Zr原子あるいはNi-Zr-Si系化合物などによる水素トラップ効果が存在することが示されている。 中間温度脆性の検討結果によれば、Mg、Zr添加の何れの合金も500℃付近を中心とする中間温度脆性には変化が見られなかった。但しZr添加合金では、700℃で断面減少率の上昇が見られており、組織観察によれば動的再結晶の兆候が見られた。従ってこのZr合金では界面割れの抑制効果が存在することが明らかである。中間温度脆性に関連して、溶質原子の拡散が遅い300℃で焼鈍後に無添加合金を室温引張試験したところ、焼鈍時間が長くなるにつれて脆化が見られるようになり、中間温度脆化と同様な破面を呈した。この場合の破断強度などは焼鈍せずに室温引張試験をした場合と殆ど変わらなかったので、焼鈍による析出硬化の影響は殆ど無視できると考えられる。従って析出硬化に寄与するNi, Si以外の元素の拡散により脆化現象が惹起されたことになり、水素との関連性を検討している。
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