2004 Fiscal Year Annual Research Report
表面反応確率計測にもとづく超硬質窒化炭素膜コーティング技術の確立
Project/Area Number |
13555197
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70201928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 秀俊 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80250984)
神田 一隆 (株)不二越, 技術開発部, 研究職
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Keywords | アモルファスCN膜 / プラズマCVD / BrCN / 硬度 / 高周波バイアス / 薄膜合成 / ラマンスペクトル / 赤外スペクトル |
Research Abstract |
Arの放電フローによるBrCNの解離励起反応を用いた超硬質a-CN膜の合成について、以下の2つの研究を行った。 イオン衝撃により、基板表面のイオン電流が集中し加熱されると基板温度が上昇する。そこで、第1の実験では基板ステージに冷却水を循環させることによって温度上昇を抑制して成膜を行った。基板ステージを冷却した膜では硬度の増加率に約2倍の差が生じた。この結果は、基板冷却で熱による内部応力の緩和を抑制したことが膜の硬質化に繋がったことを示唆する。基板ステージを冷却した条件では、RFバイアス電圧-30Vで最大17.5GPaの硬度を示した。ラマンスペクトルを解析した結果、G-bandに対するD-bandの強度比(I_D/I_G)がバイアス電圧の印加に伴い増加する傾向があることが分かった。これは、D-bandのピークにC-N単結合のピークが重なって表れたものであると考えられる。また、IRスペクトルからもa-CN_x膜の末端構造がC-N単結合から形成されることが確認された。 第2の実験ではRFバイアス電圧をパルス化した。すなわちRF電源にデジタル遅延ジェネレーターを接続し、RF電源をパルス駆動させた。パルスの周期は100sおよび1000sとし、on/off時間比を50/50、60/40、70/30、80/20、90/10で変化させた。このときのRFバイアス電圧は-40Vおよび-100Vとした。その結果、これらのバイアス電圧を連続的に印加するとスパッタリングのために膜が形成されないのに対し、バイアス電圧をパルス化することで成膜が可能となり、周期1000sのとき100sよりも高い硬度を示し、RFバイアス電圧-100V、on/off時間比80/20のときに最大で46.1GPaのa-CN_x膜が得られた。ラマンスペクトルから、I_D/I_Gを求めた結果、パルスの有無にかかわらず、a-CN_x膜の硬度値とI_D/I_Gの間には正の相関があることがわかった。DLCでは両者の間に負の相関が見られることが多く報告されているので、この傾向はa-CN_x膜に特有の現象である。今後a-CN_x膜の構造解析でトピックスの一つになると考えている。
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