2001 Fiscal Year Annual Research Report
難還元性金属とその合金の電析に用いる常温溶融塩系の創製と表面改質技術への展開
Project/Area Number |
13555200
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松永 守央 九州工業大学, 工学部, 教授 (50117313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛満 正嗣 九州工業大学, 工学部, 助手 (00291526)
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Keywords | 常温溶融塩 / 難還元性金属 / 合金電析 / イオン構造制御 / 機能性薄膜 / 表面改質 |
Research Abstract |
EMIC(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド)系の新規常温溶融塩の開発およびこれを用いた金属や合金の電析による表面改質技術の開発について研究し、以下の研究成果を得た。 (1)EMICと金属塩化物との混合によって得られる新規溶融塩の探索を行い、NbCl_5-EMIC系、MoCl_5-EMIC系が室温付近で液相を形成することを見出した。また、これらの溶融塩に関する導電率・密度などの物性値を明らかにするとともに、各溶融塩中での5価のニオブおよび5価のモリブデンの還元反応機構を解明した。その結果、5価のニオブについては、NbCl_5が50mol%より小さい溶融塩中において3価まで、50mol%よりも大きい溶融塩中において2価よりも低酸化状態まで還元されることが明らかとなった。また、5価のモリブデンでは、MoCl_5が50mol%よりも小さい溶融塩中において2価よりも低酸化状態まで還元されることが判った。すなわち、本研究で開発したこれらの溶融塩では、他の低温溶融塩系に比べて、ニオブやモリブデンがより低い酸化状態まで還元されることが可能であることを見出し、さらに第3成分としてLiFを添加することなどによって、これらの金属が電析できる可能性が得られた。 (2)代表的な常温溶融塩であるAlCl_3-EMIC溶融塩に代わる新たな常温溶融塩として、吸湿性の小さいEMIC-BF_4系溶融塩を合成し、これを電解浴とした電析への応用可能性について研究した。これまで、室温での電析が可能となっていないチタンの電解浴としての応用について検討し、この溶融塩中にTiC1_3を添加した系での電極反応機構を明らかにした。その結果、3価のチタンは2価へほぼ可逆な1電子反応によって還元されることを明らかにした。 (3)TaCl_5-EMIC-LiF常温溶融塩からのタンタルの電析について、電解浴や電解条件の影響を検討し、この溶融塩からは少なくとも5mol%以上のLiFを添加した場合にタンタルの電析が可能となることを見出した。また、静止浴においても0.lA/cm^2以上の極めて高い電流密度でタンタルの電析が可能であり、工業的な利用において極めて有利であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Morimitsu, T.Matsuo, H.Tabata, M.Matsunaga: "Electrodeposition of Tantalum from A Novel Low Temperature Molten Salt"Proc. of 6th International Symposium on Molten Salt Chemistry and Technology. 241-246 (2001)