2001 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックスを積極的に利用した連続操作による高分子微粒子の高精度制御法の開発
Project/Area Number |
13555207
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 直人 神戸大学, 工学部, 助教授 (50223954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 邦夫 神戸大学, 工学部, 教授 (20031081)
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Keywords | 連続乳化重合 / 非線形現象 / 多重安定性 / ダイナミックプロセス / 周期操作 / 非定常性 / 重合率振動 / 粒子径分布 |
Research Abstract |
本研究では、連続乳化重合により高分子ラテックス粒子の粒子径分布の高度な制御法の開発と実用化を目的とし、その方法として、流動・混合や反応系の持っている非線形ダイナミックスをポジティブに捉え、積極的に利用することである。本研究でクリアしようとする課題は以下の通りである。 1)反応系の非線形ダイナミックスを応用した粒子径分布の制御法の確立 2)流動・混合の非線形ダイナミックスを応用した粒子径分布の制御法の確立 3)ダイナミックプロセスのシンセシスに向けた設計モデルと最適化手法の確立 本年度は、反応系の非線形ダイナミックスの応用と流動・混合の非線形ダイナミックスを応用について検討した。まず、反応系の非線形ダイナミックスにおいては、この反応系における操作履歴による多重安定状態の存在に着目した。原料供給流量および、反応操作温度をパラメータとして変化させたところ、二つのパラメータともある敷居値を越えると重合率がステップ的に増加することがわかった。さらに、操作履歴によりこの敷居値は変化し、操作パラメータの値を同じにしても履歴の違いにより安定な状態が二つ存在する二重安定状態を確認した。この二つの状態間をわたるように原料供給流量あるいは、反応操作温度を周期的に時間変化させると、重合率は周期的に変化し、粒子径分布もこれに同期して変化することがわかった。また、重合率の振動の振幅も制御可能であることがわかった。この周期操作により、従来の定常操作では得られない粒子径分布が得られる可能性を見出した。さらに、このような周期操作を行わなくても、乳化剤濃度を調整することで二次粒子の凝集を制御することにより、重合率は定常に保ちつつ、粒子径分布のみを時間変動させることに成功した。このことで、安定な定常反応操作を行いながら、多様な粒子径分布が得られる可能性を見出した。 次に、流動・混合の非線形ダイナミックスの応用については撹拝槽やテイラー渦流反応装置内に存在する組織的なセル状渦を一つの混合ユニットと捉え、これを利用したラテックス粒子の粒子径分布制御を行うために、まず、マイルドな混合状態が得られる層流場で存在する孤立混合領域の微細構造を調べた。その結果、この微細構造は流れ場に加わる周期的な摂動に大きく依存しており、撹拝翼の場合はその羽枚数と羽形状で微細構造を精密に制御できることがわかった。次年度は、孤立混合領域が存在する条件で重合反応を行い、得られるラテックス粒子の特性を詳細に調べる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Ohmura: "Novel Operating Method for Controlling Latex Particle Size Distribution in Emulsion Polymerization of Vinyl Acetate"Industrial & Engineering Chemistry Research. Vol.40・No.23. 5177-5183 (2001)
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[Publications] T.Makino: "Observation of Isolated Mixing Regions in a Stirred Vessel"Journal of Chemical Engineering of Japan. Vol.34・No.5. 574-578 (2001)
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[Publications] 牧野 司: "テイラー渦流反応装置における孤立混合領域"化学工学論文集. Vol.27・No.5. 566-573 (2001)
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[Publications] T.Makino: "Observation of Laminar Mixing Structure in a Perturbed Taylor Vortex Flow"Proceedings of 12^<th> International Couette-Taylor Workshop, Evanston, IL, USA. (2001)
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[Publications] T.Makino: "Bifurcation of Organized Flow Structure in a Stirred Vessel at Low Reynolds Numbers"Proceedings of 6^<th> World Congress of Chemical Engineering, Melbourne, Australia (CD-ROM). (2001)