2001 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ制限空間内分子集団の特異な相挙動に立脚した統合的ナノ細孔評価手法の構築
Project/Area Number |
13555214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60200200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東谷 公 京都大学, 工学研究科, 教授 (10039133)
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Keywords | ナノ細孔 / 毛管凝縮 / 窒素吸着等温線 / 分子シミュレーション / 細孔内凝固 / 原子間力顕微鏡 / FSM-16 / メソ多孔体 |
Research Abstract |
工業的に重要な多孔質固体はナノメータオーダの細孔を有する場合が多い。このような材料の合理的な開発・応用を図るには,その細孔径分布の把握が大前提であり,これは通常,窒素吸着法を用いるが,Kelvinモデルはナノ細孔径を過小評価してしまうにもかかわらず,これがほぼ普遍的に用いられている。この状況は,ナノ細孔径を簡便かつ正確に予測し得る工学モデルの欠如を端的に物語っている。このような現状を鑑み,本研究では,ナノ空間内の特異な相挙動の理解に立ったナノ細孔径評価手法の構築を目指している。本年度の結果概要は以下の通りである。 1.窒素吸着による凝縮モデル検討:細孔径がTEMなどの他の手段で同定可能な材料として,各種の均質メソ多孔体を用いた検討を行った。窒素吸着等温線を,本年度導入したガス吸着装置により測定し,モデルの予測結果と真の細孔径とを比較・検討した。その結果,細孔壁の極めて薄いFSM-16では,引力パラメータが小さくなるものの,モデルによる細孔径の推定は良好に行えた。 2.AFMによる凝固実験検討:原子間力顕微鏡に環境チャンバーを付加し,コロイドプローブ法を用い,種々の液体浸漬下での,粒子表面-基板間のフォース測定に取り組んだ。典型表面として,カーボン系を用い,凝固現象を検出可能な実験方法をほぼ確立した。 3・分子シミュレーションによるモデル検討:ハイパフォーマンスコンピュータを用いて,種々の相互作用強度の細孔空間についてMDシミュレーションにより凝縮臨界圧力を求め,モデルとの比較検討を行った。 以上の検討により,細孔壁引力を考慮した凝縮モデルの適用性は,対象とした種々の系において良好であることを検証した。今後,引力相互作用強度の同定,および,吸着等温線と適切な液体の凝固点変動から細孔径分布を算出する統合手法開発に向けて,研究を進展させる予定である。
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