2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規フッ素系常温溶融塩の大量合成法の確立と電気化学システムへの応用
Project/Area Number |
13555237
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百田 邦尭 森田化学工業株式会社, 精密化学薬品事業部, 取締役事業部長
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
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Keywords | 溶融塩 / イオン性液体 / 室温 / 常温 / イミダゾリウム / フッ化水素 / フッ化物 / 電解質 |
Research Abstract |
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムフルオロハイドロジェネートEMIm(HF)_nFについて、アニオン(HF)_nF^-中のHF組成nを変化させた塩を合成し、示差熱分析を行い、状態図を作成した。その結果塩はn≧1.3の組成領域において室温以上で液体状態を保ち、また、1.7≦n≦2.3の組成領域において融点は-60℃でほぼ一定であることがわかった。さらに固相でEMIm(HF)_<1.5>F, EMIm(HF)_2Fなどの化合物が存在することが示唆された。HF組成nの値の減少とともに塩の粘性率は増大し、導電率は減少する。EMIm(HF)_<2.3>F(10^2mScm^<-1>)の導電率はEMIm(HF)_<1.3>Fにおいては約半分に減少する。しかしながら、nが小さくなるにつれてHFの解離圧が事実上零とみなせる温度は高くなり、温度上昇に伴う粘性率の低下から導電率も上がるため、使用温度など、目的に応じた組成制御が可能であることが示唆される。さらにキャパシタ電解質としての性能試験において、有機系電解液に遜色のない高い充電容量と出力密度を有することが確認された。その結果水電解質のセルのスタック数を大幅に減らすことができ、・小型電子機器用キャパシタとしての実用化の可能性が飛躍的に高まった。大量合成については実験室レベルで初期の数十倍の量までこぎつけ、サンプル出荷などが可能になってきたが、大型セルの試験等についてはさらに10倍程度のスケールアップが必要である。また、これらの塩を出発原料に用いた新しいニオブやタンタル、タングステンなどの遷移金属フルオロ錯イオンを含む新しい室温溶融塩を合成する方法が確立された。現在これらの室温溶融塩を出発原料とした新しい室温溶融塩や、ピロリジニウムなどのカチオンを用いた電気化学窓のより広いフッ素系常温溶融塩の開発など、新しい方向への研究も展開されつつある。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hideaki Yoshino, Seijiro Matsubara, Koichiro Oshima, Kazuhiko Matsumoto, Rika Hagiwara, Yasuhiko Ito: "Halofluorination of alkenes with ionic liquid EMIMF(HF)_<2.3>"J.Fluor.Chem.. 125. 455-458 (2004)
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[Publications] Kazuhiko Matsumoto, Rika Hagiwara, Ryuhei Yoshida, Yasuhiko Ito, Zoran Mazej, Primoz Benkic, Boris Zemva, Osamu Tamada, Hideuki Yoshino, Seijiro Matsubara: "Syntheses, structures and thermal properties of 1 ethyl-3-methylimidazolium salts of fluorocomplex anions"J.Chem.Soc., Dalton Trans.. No.1. 144-149 (2004)
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[Publications] Rika Hagiwara, Kazuhiko Matsumoto, Yoji Nakamori, Tetsuya Tsuda, Yasuhiko Ito, Hajime Matsumoto, Kunitaka Momota: "Physicochemical properties of 1,3-dialkylimidazolium fluorohydrogenates room temperature molten salts"J.Electrochem.Soc.. 150,No.12. D195-D199 (2003)
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[Publications] Makoto Ue, Masayuki Takeda.Akiko Toriumi, Asao Kominato, Rika Hagiwara, Yashiko Ito: "Application of low-viscosity ionic liquid to the electrolyte of double-layer capacitors"J.Electrochem.Soc.. 150,No.4. A499-A502 (2003)
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[Publications] Kazuhiko Matsumoto, Rika Hagiwara, Tetsuya Tsuda, Yasuhiko Ito, Shinji Kohara, Kentaro Suzuya: "Structural analysis of 1-ethyl-3-methylimidazolium bifluoride melt"Nuclear Inst. and Methods in Physics Research, B. 199. 29-33 (2003)
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[Publications] 萩原理加 他: "フッ素化学入門-先端テクノロジーに果たすフッ素化学の役割-"独立行政法人日本学術振興会フツ素化学第155委員会 編. 447 (2004)
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[Publications] 萩原理加, 後藤琢也, 野平俊之 他: "溶融塩の応用-エネルギー・環境技術への応用-"伊藤靖彦 編. 374 (2003)