2001 Fiscal Year Annual Research Report
新概念に基づくラセミ酸・ラセミ塩基同時光学分割法の開発
Project/Area Number |
13555245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80016154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健一 山川薬品工業株式会社, 研究開発部長(研究職)
小林 由佳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80334316)
金原 数 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30282578)
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Keywords | ジアステレオマー塩法 / ラセミ混合物 / X線結晶構造解析 / CH-π相互作用 |
Research Abstract |
これまでに我々は、ジアステレオマー塩法において高効率で光学分割ができる系では、対応するラセミ酸・ラセミ塩基から調整した塩から調整した塩が、極めて高い確率でラセミ混合物となることを見出している。そこで、ジアステレオマー塩法により効率良く分割が行える系を予測するために重要な条件の抽出を行なった。これまでに困難であった、比較的分子長の長いカルボン酸の光学分割を効率良く行なう目的で、ベンズインダン骨格を有する新規塩基性分割剤を設計した。ここでは、対応する酸の分子長が異なっていても、結晶構造の強度を保持することを期待して、分割剤にCH_<-π>相互作用形成能を有するナフタレン環を導入した。この新規塩基性分割剤を用いて、系統的な光学分割を行なったところ、用いたターゲットラセミカルボン酸の分子長に依存せず、高い分割成績を示した。そして、X線結晶構造解析を行なったところ、設計段階で期待した通りに、分割剤に導入したナフタレン環の_π電子骨格が、相手分子の大きさに応じてパッキング効率を調節する自己調節機能を有するため、分子長に対して汎用性の高い分割剤となっていることが明らかとなった。結晶工学的に見ると、CH_<-π>相互作用は弱く、結晶構造設計の推進力として積極的には用いられなかったが、この研究から、結晶構造を二次的に安定化する設計因子として極めて有用であることが示唆された。ここで得られた知見は、分割効率を予測する際の指針となるものである。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Kinbara, Y.Tagawa, K.Saigo: "Probability of spontaneously resolvable conglomerates for racemic acid/racemic amine salts predicted on the basis of the resu1ts of diastereomeric resolutions"TETRAHEDRON : ASYMMETRY. 12. 2927-2930 (2001)