2004 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒による含窒素ポリアリール類の新合成法の確立と有機EL素子への応用
Project/Area Number |
13555250
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 祥雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北 弘志 コニカミノルタテクノロジーセンター株式会社, 材料技術研究所, 主任研究員
大井 秀一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00241547)
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Keywords | ルテニウム錯体 / ハロゲン化アリール / C-H結合活性化 / アゾベンゼン / アリールカップリング / アルケニルピリジン |
Research Abstract |
これまでにルテニウム錯体触媒を用いた2-フェニルピリジン,アリールオキサゾリン,アリールイミダゾリン等のハロゲン化アリールによるベンゼン環オルト位アリール化反応を開発してきたが,本年度は,アゾベンゼン類のハロゲン化アリールによるオルト位直接アリール化反応を開発した.アゾベンゼン類はアニリン類に容易に変換可能であるため,本反応を用いることにより,オルト位にアリール基を有するアニリン類の簡便な合成が可能となった.この反応の触媒としては,ホスフィンが配位したルテニウム系錯体が高い活性を示し,中でも[η^6-C_6H_6RuCl_2]_2-4PPh_3系が最も高い活性を示した.さらに,塩基は炭酸カリウム,溶媒はN-メチルピロリジノン,反応温度は120℃,反応時間は20-40時間という最適条件を得た.この条件下で転化率は30〜50%程度となる. これまでの研究は芳香環C-H結合の活性化を経るアリール化反応であるが,本年度はアルケニルC-H結合の活性化とハロゲン化アリールとの直接カップリング反応の開発に成功した.すなわち,アルケニルピリジン類とハロゲン化アリールを[η^6-C_6H_6RuCl_2]_2-4PPh_3系触媒と炭酸カリウムの存在下に反応させると,アルケニルピリジンのβ-位が位置選択的にアリール化された生成物が高収率で得られた.また,反応のE,Z選択性は極めて高く,Z体のみが選択的に得られた.このZ選択性はMizoroki-Heck反応のそれとは全く逆の傾向を示し,本反応の大きな特徴である.
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