2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555257
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤澤 清史 筑波大学, 化学系, 助教授 (10251670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 佳明 住友化学工業(株), 技術・経営企画室, 主任研究員
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Keywords | 均一系触媒 / 遷移金属錯体 / 酸素錯体 / オレフィン類の重合 / 分光解析 / 電子構造 / 反応機構 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究は均一系遷移金属触媒を、申請者が従来行ってきた配位子系を用い、あるいはそれを展開して全く新しい触媒系を確立し、それを元に工業化触媒の開発を目指そうというものである。研究代表者はヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートを配位子として主に銅-酸素錯体の合成、詳細な分光学的解析をスタンフォード大学ソロモン研究室と共同で行ってきた。さらに、同様な方法論を鉄やマンガンにまで拡張し、新規単核酸素錯体の合成と性質の追求を行っている。以下に本年度に得られた成果を簡単に述べる。 1.嵩高いボレート配位子を用いてマンガン錯体を合成しオレフィン類の重合を行うと、立体規則性のある重合生成物が得られた。これは7族の金属を含む均一系錯体触媒による初めての成功例である。現在、最適下条件の探索を行うとともに、その反応機構を追求している。 2.単核の銅-酸素錯体の合成を行った。初めての構造決定例であった単核スーパーオキソ錯体は系内に2核化への平衡が成り立っていることが判明した。そこで、金属側にさらに嵩高いアダマンチル基を導入した錯体を合成した。この配位子系を用いると完全に2核化を防ぐことができた。 3.単核銅1価錯体と単体硫黄との反応で2核ジスルフィド銅2価錯体が得られ、その性質の検討を詳細に行った。 4.単核マンガン酸素錯体に関して各種分光学的測定、最適化計算を行い、その詳細な電子構造を明らかにした。 5.鉄-酸素錯体の反応性に関する検討を行い、その反応機構を明らかにした。 6.今までは主にヒドロトリス(ピラゾリル)ボレートを用いてきたが、ホウ素を炭素に置き換えたトリス(ピラゾリル)メタンを新規に合成し、遷移金属錯体の構造、性質の検討を行った。また、この新規配位子を用いて、酸素錯体の合成を行い、詳細な性質の検討も併せて行った。 以上のように、遷移金属-酸素錯体、均一系遷移金属錯体触媒に関して多くの成果を得ることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Fujisawa, Y.Miyashita, Y.Yamada, K.Okamoto: "Structural Effects on Nitratocopper(II) Complexes of Tris(pyrazolyl)borates"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 74. 1065-1066 (2001)
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[Publications] Y.Miyashita, N.Mahboob, S.Tsuboi, Y.Yamada, K.Fujisawa, K.Okamoto: "fac-Trichloro(quinolin-8-ylimido-N,N')(triphenylphosphine-P)rhenium(V)"Acta Cryst.. C57. 558-559 (2001)
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[Publications] Y.Miyashita, N.Mahboob, S.Tsuboi, Y.Yamada, K.Fujisawa, K.Okamoto: "Crystal Structure and Spectroscopic Characterization of Linear-Type S-Brideged Trinuclear Complexes ∧∧-and ∧∧/∧∧-[Re^<III>{Rh^<III>(aet)_3}^<3+> (aet=2-Aminoethanethiolate)"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 74. 1295-1301 (2001)
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[Publications] Y.Miyashita, M.Hamajima, Y.Yamada, K.Fujisawa, K.Okamoto: "Synthesis, Characterization and Reactivity of Linear-Type S-Brideged Trinuclear Complexes Containing Vanadium(III)ion. Crystal Structure of [V^<III>{M(aet)_3}_2](CIO_4)_3(M=Rh , Ir , aet=2-Aminoethanetholate)"J. Chem. Soc., Dalton Trans.. 2089-2094 (2001)
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[Publications] D.Baba, H.Ishii, S.Higashiya, K.Fujisawa, T.Fuchigami: "Electroytic Partial Fluorination of Organic Compounds.52.1 Regio- and Diastereoselective Anodic Fluorination of Thiazolidines"J. Org. Chem.. 66. 7020-7024 (2001)
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[Publications] Y.Miyashita, S.Arai, Y.Yamada, K.Fujisawa, K.Okamoto: "anti-Bis(μ-2-ammonioethanethiolato-κ^2S:S)bis[dichloropalladium(II)]dihydrate"Acta Cryst.. C57. 1393-1394 (2001)