2001 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性高分子による微量金属イオンの結合濃縮と矩形波ボルタンメトリによる精密定量
Project/Area Number |
13555262
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
鈴木 隆之 東京電機大学, 工学部, 助教授 (20257215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 公 株式会社 キナン, 環境事業本部・研究部長
|
Keywords | フォトクロミズム / 錯形成 / 蛍光色素 / 矩形波ボルタンメトリ / 高分子 / スピロピラン |
Research Abstract |
本研究では、重金属イオンと光応答で可逆的に錯形成するフォトクロミック高分子と矩形波ボルタンメトリとの組み合わせにより低コストで簡便操作の重金属イオン回収と汚染度測定を実現することを目的としている。 まず、高分子スピロピランにおけるメロシアニン構造の錯形成から光照射により金属イオンを効率よく脱離させる必要があるが、太陽光には紫外光が含まれている。これを効率よく可視光に変換するために、スピロピラン周辺に蛍光色素をドープする実験を行った。トリスキノリノラトアルミニウム(III)(λmax=524nm)など金属錯体をドープすると、高分子スピロピランのメロシアニン構造の酸素部位に金属イオンが結合することもあった。メロシアニン構造が金属錯体を形成すると、通常のメロシアニン構造よりも安定となり可視光照射によりスピロピランあるいはスピロオキサジンに光異性化する効率が著しく減少する。有機系の蛍光色素、ペリレンは効率よく紫外光を青色発光に変換し、これが存在する場合としない場合とでメロシアニン構造の金属錯体が高分子スピロピランに戻る経時変化を観察できた。 次に、高分子スピロピランの組成比に注目した。この高分子はスピロピランと撥水性パーフルオロヒドロキシルセグメントの共重合体であり、後者の組成を高めることにより、水溶液中で溶解性が著しく減少した。これにより、水に不溶の高分子スピロピランを得た。これは水とアルコールの混合溶媒中ではゲル状態であり、効率よく水溶液中の金属イオン(ここでは、鉛(II)イオンとマンガン(II)イオン)を錯形成できた。この確認は紫外可視吸収スペクトルと矩形波ボルタンメトリにより行った。
|