2003 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性高分子による微量金属イオンの結合濃縮と矩形波ボルタンメトリによる精密定量
Project/Area Number |
13555262
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
鈴木 隆之 東京電機大学, 工学部, 助教授 (20257215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 公 株式会社キナン, 環境事業本部・研究部長
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Keywords | フォトクロミズム / 錯形成 / 蛍光色素 / 矩形波ボルタンメトリ / 高分子 / スピロピラン |
Research Abstract |
感温性を示すN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)とスピロピランメタクリレート(SPMA)の共重合体(P(SPMA-NIPAAm))を合成した。感温性を示すP(SPMA-NIPAAm)共重合体を用いて、可視光照射と温度変化を駆使した高効率な水溶液中金属イオンの吸着回収を検討した。まず、低温でP(SPMA-NIPAAm)共重合体を水に溶解した後、高温にして再度析出させ金属イオン吸着のための充填層とする。次に、高温を維持しながら、金属イオンを含む汚水をこの充填層に流し込む。実際、P(SPMA-NIPAAm)共重合体はP(SPMA-FHMA)共重合体と同様な黄色を呈し、電気化学測定からも金属イオン(鉛(II)で測定)の吸着を確認した。十分に濃い黄色を確認した後、このP(SPMA-NIPAAm)共重合体を別の水槽(金属イオン濃縮用水槽)に移動する。低温にしてP(SPMA-NIPAAm)共重合体を溶解させると、黄色の透明な水溶液を実際に得ることができる。この水溶液に低温を維持しながら可視光を照射すると、即座に黄色は消失した。続けて、可視光を照射しながら水槽を高温にすると白色のP(SPMA-NIPAAm)共重合体が析出した。水溶液中で錯形成していないフリーな金属イオンの濃度がこのとき増加していることを電気化学測定で同時に定量しているため、この白色のP(SPMA-NIPAAm)共重合体は金属イオンを脱離した状態にあることがわかった。吸着した金属イオンの脱離に可視光照射を行なうため、昨年度実施したP(SPMA-FHMA)共重合体のような不溶物では表面だけの照射となり、金属イオンの高い脱離効率が望めなかった。これと対照的に、P(SPMA-NIPAAm)共重合体は可視光照射時に水中に溶解さることができるため、万遍なく照射光を行き届かせることが可能となり、高効率な脱離効率が見込めた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Suzuki, Y.Kawata, S.Kahata, T.Kato: "Photo-reversible Pb(II)-complexation of insoluble poly(spiropyran methacrylate-co-perfluorohydroxy methacrylate) in polar solvents"Chem.Commun.. 2004-2005 (2003)
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[Publications] 鈴木隆之, 河田洋平: "重金属イオンを繰り返し吸脱着する有機フォトクロミック化合物"表面. 41巻・5号. 153-159 (2003)