2003 Fiscal Year Annual Research Report
過冷却極低温推進剤のキャビテーション特性に関する研究
Project/Area Number |
13555265
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上條 謙二郎 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (90282003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 洋一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60111473)
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (10312662)
尾池 守 石巻専修大学, 理工学部機械工学科, 教授 (70292282)
山田 仁 航空宇宙技術研究所, ロケット部, 室長(研究職)
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Keywords | 液体ロケット / 液体酸素 / 高密度化 / キャビテーション / 気泡核 / ターボポンプ / インデューサ |
Research Abstract |
地球低軌道への打ち上げコストの低減は、宇宙開発における最重要課題となっている。本研究は、コスト低減の一つの方策として考えられている極低温推進剤の高密度化ロケットの実用化に際して問題が予想される極低温推進剤、特に過冷却状態液体酸素のキャビテーションの特性を調べることを目的とした。 過冷却状態の液体酸素の生成は、減圧により液体窒素を過冷却状態にし、この液体窒素により大気圧下で飽和状態液体酸素を冷却する方法を採用した。本装置を製作し、実際に過冷却状態液体酸素を生成したが、過冷却状態のキャビテーションの実験は安全を考慮して、ロケット開発で、液体酸素の模擬液として用いられる液体窒素を使用した。透明な挟まり広がり管のノズル付近にキャビテーションを発生させ、流れの可視化を中心に圧力、温度、加速度などを測定した。 過冷却状態(液体窒素69K)と大気圧下飽和状態(液体窒素77K)のキャビテーション発生時における流動状態に顕著な差が認められた。可視化によると過冷却状態では、キャビテーションの発生が間欠的であり、極めて非定常的特性を示した。圧力測定からは管路の固有振動数に起因する圧力振動の周波数と振幅はともに過冷却状態において大きな値を示した。これらの原因として熱物性ならびに気泡核形成過程の相違が考えられた。 気泡核生成については、別途分子動力学的手法を用いて液体酸素中の不純物の影響を中心に数値シミュレーションを行った。その結果、分子の並進挙動に着目した場合、窒素混入系では均質的な核生成を呈するのに対して、ヘリウム混入系では相分離に基づいた核生成を示す可能性があること、またヘリウム分子は低濃度下においても揺らぎをもたらす効果があり、過熱限界を小さくする作用が非常に強いことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takashi Tokumasu, Yumiko Sekino, Kenjiro Kamijo: "The numerical analysis of the effect of flow properties on the thermodynamic effect of cavitation"Transaction of the Japan Society for Aeronautical and Space Science. (発表予定).
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[Publications] Takashi Tokumasu, Yumiko Sekino, Kenjiro Kamijo: "A New Modeling of Sheet Cavitation Considering the Thermodynamic Effects"Proceedings of CAV2003. GS-16-003 (2003)
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[Publications] Kazuki NIIYAMA, Mamoru OIKE, Takashi TOKUMASU, Kenjiro KAMIJO: "Observations of Cryogenic Two--Phase Flow"Proceedings of AFI-2003. 65-66 (2003)
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[Publications] Takashi Tokumasu, Taku Ohara, Kenjiro Kamijo: "Effect of molecular elongation on the thermal conductivity of diatomic liquid"Journal of Chemical Physics. 118. 3677-3685 (2003)
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[Publications] 徳増崇, 小原拓, 上條謙二郎: "分子動力学法による二原子分子液体の熱伝導率の検討"日本機械学会論文集B編. 69巻683号. 1644-1650 (2003)
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[Publications] 津田伸一, 徳増崇, 高木周, 松本洋一郎: "不純物混入液体における気泡核生成の分子動力学的研究"日本機械学会2003年度年次大会講演論文集. 4巻. 183-184 (2003)