2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13555275
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
笹木 圭子 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (30311525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金野 英隆 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50002316)
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Keywords | マンガン / 生物処理 / 鉱廃水 / 炭素材料 |
Research Abstract |
北海道南部のマンガン堆積環境からマンガン酸化活性を有する真菌を分離し、形態観察、生理学的性質、遺伝子解析からPhoma sp.と推定された。このマンガン酸化真菌のマンガン酸化速度は、有機炭素源が低濃度のとき促進され、炭素繊維を共存させるとさらに速くなった。ほぼ同じ形状のPET繊維ではこのような効果は表われなかったことから、炭素繊維のカビに対する生体親和性が寄与したものと推定される。マンガン酸化にともなう培地中の過酸化水素水濃度の変化を測定したところ、Mn(II)イオンの減少に伴って、過酸化水素水濃度は消費され、炭素繊維を共存させた場合にはそれぞれの減少速度は速くなった。このことから、このカビのマンガン酸化機構には過酸化水素水が関与しており、Mn(II)イオンの電子受容体がカビの代謝から発生した過酸化水素水である可能性があり、炭素繊維はカビからマンガン酸化酵素の分泌を促進する作用があると考えられる。マンガン酸化カビとしてよく知られている多くの菌が白色不朽菌群や子のう菌群であるのに対し、Phoma sp.は不完全菌群に属し、この菌群のマンガン酸化メカニズムはこれまでまったく報告がない。この菌のマンガン酸化因子は従来のカビで報告されているマンガンペルオキシダーゼあるいはラッカーゼとどう関係があるのかもまだわからない。ただ、この結果は自然界で形成されているマンガン堆積環境はかなり広い種にわたるカビが関与している可能性を強く示唆していると思われる。この菌のマンガン酸化可能な上限濃度は60ppmまで再現性が得られ、生成したマンガン酸化物は電子顕微鏡観察から非常に多孔質で、炭素繊維を担体として利用すれば、高効率の反応場になることが期待される。具体的には有害な重金属イオンのスカベンジャーとして有望で、鉱廃水処理法としてさらに付加価値を生むことにつながるであろう。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K.Sasaki: "Synthesis of aragonite from calcined scallop shells -Morpholigical characterization by FE-SEM"Shigen-to-Sozai. 118. 553-558 (2002)
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[Publications] K.Sasaki: "Removal of manganese ions from water by Leptothrix discophora with carbon fiber"Mater. Trans.. 43(11). 2773-2777 (2002)
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[Publications] K.Sasaki: "Distribution and transition of heavy metals in mine tailing dumps"Mater. Trans.. 43(11). 2778-2783 (2002)
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[Publications] K.K.Yoo: "Analysis of heavy metals in a tailing impoundment of abandoned Mn mine by using two sequential extractions"Mater. Trans.. 43(12). 3189-3194 (2002)
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[Publications] K.Sasaki: "Chemical transportation of heavy metals in the constructed wetland impacted by acid drainage"Mater. Trans.. 44(2)(In press). (2002)
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[Publications] 金野英隆: "北海道産真菌による水中のMn(II)イオンの酸化除去"日本学術振興会第117委員会資料. (2002)
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[Publications] 笹木圭子: "Acidithiobacillus ferrooxidansによる硫ヒ鉄鉱の溶解と有機酸による抑制に関する研究"資源と素材. (印刷中). (2003)
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[Publications] 平島 剛: "水熱処理法による木質系バイオマス燃料製造に関する基礎的研究"資源と素材. (印刷中). (2003)