2002 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄酸化細菌抑制による地熱発電所冷却水系統の運転安定化
Project/Area Number |
13555276
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 千弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30271878)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 篤男 東北緑化環境保全(株), 環境事業部, 課長(研究職)
須藤 孝一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90291252)
千田 佶 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005499)
|
Keywords | 地熱発電所 / 硫黄スケール / 硫黄酸化細菌 / 硫化水素 / 遺伝子解析 / 16SrRNA遺伝子 / ポリチオン酸 |
Research Abstract |
本研究では、地熱発電所の冷却水系統で発生する硫黄スケール量を、硫黄酸化細菌の活動を抑制することによって大幅に減少させることを目的としている。 本年度においては、昨年度に単離された硫黄酸化細菌15種について詳細な検討を行うこととした。まず、昨年度にPCR-RFLP法により単離株は8種類に分類されたが、このうち7種類9菌株について、16S rRNA遺伝子を抽出し、遺伝子解析を行うことにより再分類および同定を行った。その結果、これらの菌株はBurkh olderia目に属する4種の細菌に分類されることが判明した。昨年度に実施したPCR-RFLPによる解析結果とは大きく異なるものであった。Burkholderia目の細菌は、これまでに硫黄酸化能力があることは報告されておらず、本研究の大きな成果である。なを、Burkholderia目の細菌が属するβ-proteobacteriaには硫黄酸化細菌も含まれることが知られている。この解析の結果、冷却水系統に存在する主要硫黄酸化細菌の固有遺伝子情報が明らかになり、各菌株固有の合成DNAプローブの作製が可能となった。 これらの菌株のうち、昨年度において硫化水素からチオ硫酸まで酸化され、そこから硫黄が生成する菌株についてより詳細な酸化メカニズムの検討を行った。その結果、チオ硫酸の多くはテトラチオン酸に酸化されていることが確認された。すなわち、硫黄成分は徐々に酸化されているものの、完全酸化型である硫酸には向かわず、硫黄原子が繋がっていくポリチオン酸になることが見い出された。この過程において、元素硫黄が形成されると推測されるが、このメカニズムについては現在も検討中である。
|