2003 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄循環ミニ生態系を導入したゴミ焼却残渣からの重金属資源回収システム
Project/Area Number |
13555281
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小西 康裕 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90167403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 啓介 JFEエンジニアリング株式会社, エンジニアリング研究所, 研究部長
野村 俊之 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00285305)
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Keywords | 飛灰 / ゴミ焼却残渣 / 重金属 / 硫黄循環 / 硫黄酸化細菌 / 硫酸還元細菌 / 物質循環 / バイオリーチング |
Research Abstract |
1.重金属含有浸出液からの金属酸化物微粒子の調製 浸出液の重金属イオンを還元細菌の作用で金属単体に還元・回収できるかを実験的に検討したが、バイオ還元はできなかった。そこで、浸出液からの金属酸化物微粒子の調製を試みた。すなわち、重金属を含む浸出液に対して溶媒抽出を行って、Cu(II)イオンを選択的に有機相(抽出剤:第三級カルボン酸)に濃縮した後、Cu(II)を含む有機相を170℃(0.8MPa)〜210℃(2.1MPa)で120分間、水熱処理した。有機相初期Cu(II)濃度0.15kmol/m^3、初期フリーカルボン酸濃度が0.36kmol/m^3である場合、Cu_2O粒子とCuO粒子の混合物が得られた。出発物質の初期フリーカルボン酸濃度を0.36kmol/m^3に高めて180℃〜210℃で水熱処理を60分間行った場合、Cu_2O粒子だけが生成した。原料溶液の攪拌回転数を300rpmから100rpmに減少させるに伴い、Cu_2Oの平均粒子径は16μmから5.5μmに変化した。 2.トータル・システムの構築(溶解飛灰からの亜鉛回収のロセス) 無機硫黄の酸化能または還元能を有する微生物を利用して、人工的な硫黄成分の循環流れ(元素硫黄→硫酸イオン→硫化水素→元素硫黄)を直列に連結させた反応器内で作り出し、溶融飛灰からの有価金属の浸出と硫黄成分の回収を図る生物反応システムを提案した。 平成13〜15年度に得られた知見に基づいて、システム全体としての処理速度を検討した。まず、溶融飛灰のバイオリーチングでは、好熱性細菌A.brierleyiを使用しても、90%以上の高浸出率を確保するには1週間の操作時間が必要である。これに対して、浸出残液中の硫酸イオンの硫化水素へのバイオ変換は、1日程度の回分操作で実施できる。これに比べて、浸出液中の亜鉛イオンと硫化水素の沈殿反応は迅速に進行する。また、余剰硫化水素の元素硫黄のバイオ転換速度は、硫酸イオンの硫化水素へのバイオ転換速度よりも大きくなる。したがって、溶融飛灰からの亜鉛のバイオリーチングが、その下流工程よりも遅いプロセスであり、システム全体としての処理速度の律速段階であることが明らかになった。したがって、亜鉛の浸出速度の向上が、本処理システムの高効率化に結び付くことになる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Konishi, M.Matsui, H.Fujiwara, T.Nomura, K.Nakahara: "Zinc Leaching from Fly Ash in Municipal Waste Incineration by Thermophilic Archaean Acidianus brierleyi Growing on Elemental Sulfer"Separation Science and Technology. 38・16. 4117-4130 (2003)
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[Publications] Yasuhiro Konishi, Toshiyuki Nomura, Dai Satoh: "Solvothermal Preparation of Cuprous Oxide Fine Particles by Hydrolysis of Copper (II) Carboxylate in Two-Phase Liquid-Liquid System"Industrial & Engineering Chemistry Research. (Accepted for publication). (2004)