光エネルギー利用ガス→ガス変換植物の創成と環境修復への活用の研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13556002
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 森川 弘道 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00089129)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高橋 美佐 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10294513)
• Keywords: 二酸化窒素 / 硝酸性窒素 / 環境汚染 / ブルーベビー症 / 富栄養化 / 亜酸化窒素還元酵素(N_2OR) / 葉菜 / 脱窒酵素系

Research Abstract

大気中のNOx濃度を減少させることは、地球環境の破壊を食い止め、ヒトを含めた地球上の生態系の維持に必要欠くべからざる問題である。植物がNO_2を吸収・同化することはよく知られている。最近、植物がNOも吸収することが報告(Wildt&Kley,1997)されている。
本研究の目的は、NO_2ガスをN_2ガスに光エネルギーを活用して、変換する植物の分子育種である。このためには、脱窒菌のN_2OをN_2に還元する亜酸化窒素還元酵素(N_2OR)遺伝子(nosZ)を導入・発現させた組み換え植物を育成することができれば、NO_2ガスをN_2ガスに変換する「ガス→ガス変換植物」が誕生するはずである。上に述べたように植物はNOを吸収するがが、脱窒菌では、NOはN_2O生成の中間体であり、「ガス→ガス変換植物」は、NOもN_2に変換することが期待される。そこで本研究では、まずモデル植物シロイヌナズナで種々のnosZ発現ベクターを導入・発現させ解析を進めた。これまでに、いくつかの形質転換体を取得したがいずれも断片化されたnosZが導入されているのみであった。これまで、本代表者らは、多くの形質転換体を作ってきたが、今回のように断片化されたトランスジーンが導入されたのは初めてであり、その原因はまだ分からない。
近年、硝酸性窒素による飲料水、河川水、牧草などの汚染が問題となっている。特に、酪農地域での大量の糞尿の放出に伴い大量のアンモニアが環境中に放出され、硝化菌による硝化作用による硝酸の生成が原因である。そこで、本研究では、ガスガス変換の考えをさらに発展させ、硝酸自体のガスへの変換についても来年度から探求する計画である。

Research Products

• [Publications] K.Shimizu: "Presence of an SAR-like sequence in junction regions between an introduced transgene and genomic DNA of cultured tobacco cells : its effect on transformation frequency"Plant Journal. 26・4. 375-384 (2001)
• [Publications] M.Takahashi: "Enrichment of nitrite teductase gene improves the ability of Arabidopsis thaliana plants to assimilate nitrogen dioxide"Plant Physiology. 126・2. 731-741 (2001)
• [Publications] M.Takahashi: "Phytoremediation of nitrogen dioxide and its metabolism in plants"Acta Biotechnologica. (in press).
• [Publications] M.Ttakahashi: "Production and characterization of transgenic plants that were transformed with MnP and LiP from white rot fungi"Acta Biotechnologica. (in press).
• [Publications] H.Morikawa: "Metabolism of nitrogen dioxide in plants-Assimilation, dissimilation and novel metabolites"Physiology and Molecular Biology of Plants. (in press).
• [Publications] A.Sakamoto: "Arabidopsis glutathione-dependent formaldehyde dehydrogenase is an S-nitrosoglutathione reductase"FEBS Letters. (in press).
• [Publications] H.Morikawa: "Phytoremediation : Transformation and Control of Contaminants"John Wiley and Sons, Inc. 455 (2001)