2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳業用乳酸菌から"食べるワクチン"を!-新世代経口ワクチン・アジュバントの開発-
Project/Area Number |
13556018
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 春樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10204885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 泰 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00261496)
齋藤 忠夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00118358)
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Keywords | 乳酸菌 / S.thermophilus / DNA / CpG motif / 腸管 / パイエル板 / TLR9 / クローニング |
Research Abstract |
[目的]我々は、日常摂取する乳業用乳酸菌のDNAモチーフが消化管内で免疫賦活化能を有することを発見した.このことは、ワクチン抗原遺伝子を組み込んだ乳業用乳酸菌とそのDNAモチーフを有効なアジュバントを有する経口ワクチンとして開発できることを強く示唆する.本研究は、乳業用乳酸菌とそのDNAモチーフにより副作用のない安全な、しかも有効なアジュバントを兼ね備えた、新世代の"食べる経口ワクチン"を開発することを目的としている. [方法]本年度は、乳業用乳酸菌由来免疫活性化DNAより、ワクチンアジュバント活性を示すDNAモチーフを同定する目的から、特にヨーグルトスターターを中心としてDNAデータベースを用い、CpGモチーフの検索を行った.得られたCpGモチーフを含むオリゴDNAの免疫活性をリンパ球幼若化活性を指標として評価した.CpGモチーフのレセプターとして同定されたTLR9についてヒトモデル系として期待されるブタ腸管よりクローニングし、その発現を解析した. [結果]DNAデータベースの検索から、S.thermophilus ATCC19258株の遺伝子にCpGモチーフの存在が認められた.DNA配列から化学合成したCpGモチーフを含む20bのオリゴDNAは、マウス脾臓リンパ球に対して高い幼若化活性を示し、B細胞マイトジェンとして同定された.ブタ腸管パイエル板から、1,029アミノ酸配列をコードする3,087bpからなるブタTLR9 cDNAの全塩基配列を決定した.ブタTLR9はヒトと比較して85%と高い相同性を示した.同分子は腸管組織においてパイエル板にのみ発現していた.このことから、腸管パイエル板における乳酸菌DNAモチーフのTLR9を介する免疫調節機構が強く示唆された.
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