2002 Fiscal Year Annual Research Report
微結晶セルロースの複合材料および異方性反応場への応用
Project/Area Number |
13556022
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
空閑 重則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60012051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐荘 正恒 東京都立大学, 理学部・化学科, 教授 (20137029)
西山 義春 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70323475)
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Keywords | セルロース / 微結晶 / たんぱく質 / NMR / 残余双極子結合 / 配向場 / ポリマーブラシ |
Research Abstract |
天然セルロースから得られる棒状コロイド系の材料技術的応用を探索し、以下の諸点を明らかにした。 1.セルロース微結晶の化学修飾によるコロイド分散状態の制御を試み、(a)荷電基の導入、および(b)水溶性ポリマーのグラフトによる立体安定化に成功した。 2.表面電荷量の二次的制御により、従来報告されているキラルネマチックとは異なる「birefringent glassy」相の生成を見出した。これはネマチック相の変種と考えられる。 3.細長い微結晶からなるバクテリアセルロース由来のコロイドは、徹底的に脱塩した状態ではネマチック相となるが、ごく微量の電解質を添加するとキラルネマチック相になることを見出した。これは微結晶固有のねじれが静電反発により遮蔽されるためであるという仮説を提唱した。 4.セルロース微結晶の異方性効果の利用として、絹フィブロイン水溶液とのブレンドによるコンポジット材料の調製を試みた。該キャストフィルムの引張強度はセルロース70〜80%の組成において顕著な極大をもつという異常挙動を見出した。赤外分光による解析から、この現象は微結晶表面がフィブロイン分子のβ構造形成を誘起するためと考えた。 5.セルロース微結晶のキラルネマチック液晶を用いるタンパク質の構造解析については、様々な条件で調製したセルロース試料にユビキチンを加えてNMR測定を行ったが、残余双極子結合によるシグナル分裂は観測されなかった。したがってIntimin+セルロース微結晶の系で上記効果を観測したというFlemingの報告(2000)は、この組み合わせに固有の現象であり、一般性に欠けるという結論に達した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Noishiki, S.Kuga, J.Magoshi: "Mechanical properties of silk fibroin-microcrystalline cellulose composite films"J. Appi. Polym. Sci.. 86. 3425-3429 (2002)
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[Publications] J.Araki, S.Kuga, J.Magoshi: "Influence of Reagent Addition on Carbodiimide-Mediated Amidation for Poly(Ethylene Glycol) Grafting"J. Appi. Polym. Sci.. 85. 1349-1352 (2002)
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[Publications] J.Araki, S.Kuga: "Effect of trace electrolyte on liquid crystal type of cellulose microcrystals"Langmuir. 17. 4493-4496 (2001)
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[Publications] J.Araki, M.Wada, S.Kuga: "Steric Stabilization of Cellulose Microcrystal Suspension by Poly(ethylene glycol) Grafting"Langmuir. 17. 21-27 (2000)
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[Publications] J.Araki, M.Wada, S.Kuga, T.Okano: "Birefringent Glassy Phase of a Cellulose Microcrystal Suspension"Langmuir. 16. 2413-2415 (2000)
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[Publications] J.Araki, M.Wada, S.Kuga, T.Okano: "Flow Properties of Microcrystalline Cellulose Suspension Prepared by Acid Treatment of Native Cellulose"Colloids & Surfaces. 142. 75-82 (2000)
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[Publications] 荒木潤, 空閑重則: "セルロース微結晶のコロイド現象"Cellulose Commmunications. 7. 111-116 (2000)