2001 Fiscal Year Annual Research Report
抗インフルエンザウィルス活性を有するミルクオリゴ糖の調製とその利用
Project/Area Number |
13556042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 忠夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00118358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 泰 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00261496)
北澤 春樹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10204885)
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Keywords | ミルクオリゴ糖 / ウシ初乳 / シアル酸 / シアリルオリゴ糖 / ラクトン / シアリルラクトースラクトン / シアリダーゼ / 抗ウイルス因子 |
Research Abstract |
[目的] シアル酸は、糖鎖や糖脂質などの複合糖質の結合糖鎖の末端に位置し、細胞間や物質間の認識性に対して重要な分子である。我々は、最近ヒツジ初乳中に3'-シアリルラクトース(SL)のラクトン体を発見し、感染防御因子と推定された。そこで、本ミルクオリゴ糖ラクトンを大量調製する安全な方法を構築し、それを食品に抗インフルエンザウイルス因子として添加し、高度利用することを目的とした。 [方法] 1 ウシ初乳からの3'-SLラクトンの大量調整法:市販の飼料用脱脂ウシ初乳粉末の溶媒抽出、活性炭クロマト、イオン交換クロマト、氷酢酸でのラクトン化、およびイオン交換クロマトを組み合わせて、3'-SLラクトンを調製した。2 糖加水分解酵素の逆反応を用いた大量調製法:β-ガラクトシダーゼ(B.circurans)またはβ-グルコシダーゼ(Thermus Z-1)をラクトースに作用させ、遊離したガラクトース(Gal)残基をシアル酸(NeuAc-Na)に転移させることで、大量にシアリルオリゴ糖の調整を試みた。3 3'-SLラクトンのシアリダーゼ抵抗性試験:ウイルス、細菌および腸管シアリダーゼを試験した。 [結果と考察]安全な試薬や方法を用いて、ウシ脱脂初乳粉末100gより12mgの3'-SLラクトンの調製に成功した。この手法はプラントをスケールアップすれば、さらなる大量調整が可能であった。化学構造は、^1H-NMRにより確認した。また、β-ガラクトシダーゼにより天然界には存在しないGa 1 β 1-7NeuAcやGa 1 β 1-3 Ga1 Ga 1 β 1-7NeuAcなどの新規オリゴ糖が製造できた。これらのオリゴ糖の氷酢酸によるラクトン化を試みた所、3'-SLは容易にラクトンに誘導できたが、Ga1-NeuAcタイプのオリゴ糖はラクトン化しなかった。また3'-SLラクトンはNewcastle病ウイルス、Vibrio cholerae,Salmonella typhimurium, Arthrobacter ureafaciensおよびヒト腸管シアリダーゼの全ての抵抗性を示した。これにより、初乳中に含まれる3'-SLラクトンは腸管に留まり、インフルエンザウイルスや細菌のシアリダーゼを不活性化する抗病性因子であることが初めて確認され、その利用性に道が拓かれた。
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