2003 Fiscal Year Annual Research Report
食される野生動物肉の微生物汚染調査と産地を特定する遺伝学的モニタリング手法の開発
Project/Area Number |
13556047
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石黒 直隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神埼 伸夫 東京農工大學, 農学部, 助教授 (80234152)
増田 隆一 北海道大學, 先端科学技術共同センター, 助教授 (80192748)
牧野 壮一 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (30181621)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ハプロタイプ / PCR / 野生動物 / イノシシ / シカ |
Research Abstract |
本研究は、日本の大型哺乳動物の中で、昔から食されているイノシシ、シカ、クマに関してミトコンドリアDNA多型を用いた遺伝子地図を構築し、市販されている野生動物肉の捕獲地や産地を明らかにすることを目的としている。また、広く食されている野生動物肉の微生物汚染を明らかにして食品としての価値を評価するのもである。平成15年度は、九州と四国に生息するイノシシに関して幅広い遺伝子調査を行いミトコンドリアDNA(mtDNA)に関する遺伝子地図を完成した。また、微生物汚染に関しても大腸菌群数と一般細菌数を調査して流通しているイノシシ肉の衛生状態を調査した。本年度の調査で得られた研究成果を下記する。 1)産地を特定するmtDNAの遺伝子地図の構築:九州は長崎県と大分県に生息するイノシシを町村別に捕獲し両県で広く生息しているイノシシのmtDNA地図を完成した。日本国内ではmtDNAは18型に分類されるが、両県でのmtDNAはJ10型、J12型、J15型が多く検出された。長崎県では町村による偏りが一部で見られた。四国4県(香川県、愛媛県、徳島県、高知県)から185頭のイノシシを捕獲し、四国4県に生息するイノシシのmtDNA遺伝子地図を完成させた。その結果、本州、九州などでこれまでに検出されなかった新しいmtDNAハプロタイプJ19型を多く検出し、その分布は香川県に偏っていることが明らかとなった。 2)市販イノシシ肉の微生物汚染調査:インターネット等で市販されているイノシシ肉に関して微生物汚染調査を行ったが、一般細菌数や大腸菌群数は市販ブタ肉に比べてすくなかった。サルモネラやO157は検査した食用肉からは検出されなかった。 3)シカのプリオン病(慢性消耗疾患)のプリオン検査:シカ肉は食肉としてばかりでなく、サラミ等の食肉加工品として食されているが、BSE発生後、消費が落ち込んだ。今年度は70頭あまりのシカに関してプリオン検査をウエスタンブロット法で行ったが、全て結果は陰性であった。
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