2003 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマ病特異的診断法の開発および野外材料を用いた実用評価
Project/Area Number |
13556048
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (10271751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄 学南 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (10292096)
田仲 哲也 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00322842)
横山 直明 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (80301802)
長澤 秀行 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60172524)
藤崎 幸蔵 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (00292095)
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Keywords | アフリカトリパノソーマ / 診断 / ELISA / LAMP法 |
Research Abstract |
LAMP法によるトリパノソーマ特異的遺伝子検出法の開発。 LAMP法は等温反応で高感度遺伝子増幅を行う方法である。また、遺伝子増幅の有無が反応液の濁度によって判別可能である。従って実施には単純なインキュベーター以外の特別な設備を要しない。LAMP法のこのような特徴は、十分な施設・設備が利用できない開発途上国や小規模診療施設などで高感度病原体検出を実施する上で非常に有用である。 直接検出法、PCR法、LAMP法の比較 トリパノソーマ慢性感染マウスから一日毎に20μl採血し、鏡検によるトリパノソーマの直接検出、PCR法およびLAMP法によるトリパノソーマ遺伝子検出を行った。血液検体からのDNA抽出には野外での実行性を考慮し、ワットマン社製DNA抽出用ろ紙(FTAカード)を用いた。その結果、直接検出<PCR<LAMPの順に検出感度が高くなり、LAMP法の有用性が検証された。従来から指摘されていた通り本実験においても、LAMP法に用いるBst DNAポリメラーゼはPCR法に使用するTaq DNAポリメラーゼよりも血液由来酵素阻害因子の影響を受けにくいことを示唆する結果が得られた。 タイ国・農務省・農産物食品局(National Bureau of Agricultural Commodity and Food Standards(ACFS), Ministry of Agriculture and Cooperatives, Bangkok, Thailand)のツンタスヴァン(D.Tuntasuvan)博士との共同研究で、トリパノソーマ感染ブタからのトリパノソーマ検出を、直接検出法(スメア法、遠心法)、マウス接種法、PCR法、LAMP法の各方法を用いて行った。その結果、LAMP法はPCR法と同等以上の高感度でトリパノソーマ遺伝子を検出した。反応所要時間および検出の簡便性ではLAMP法がPCR法よりも優れている。今回の研究で、LAMP法の野外使用における有用性は十分証明されたと考えるが、今後LAMP法に供するDNAサンプルの調製法については十分検討すべきである。LAMP法は高感度であるため、今回の研究においてもDNA調製段階での試料間の相互汚染が問題となることがあった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Bannai, H.: "Cloning and expression of mitochondrial heat shock protein 70 of Thypanosoma congolense and potential use as a diagnostic antigen"Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 10・5. 926-933 (2003)
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[Publications] Kuboki, N.: "Loop-mediated. isothermal amplification for detection of African trypanosomes"Journal of Clinical Microbiology. 41・12. 5517-5524 (2003)