2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13557035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舟山 眞人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40190128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 清人 山形大学, 工学部, 教授 (60007218)
那谷 雅之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70241627)
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Keywords | 血管損傷 / 血管離断 / 血管牽引 / 大動脈 / 外傷 / 応力 / ひずみ量 |
Research Abstract |
外力作用時の血管損傷解析のため血管牽引装置を試作した。把持部分には手術用超デリケート無外傷性鉗子用いた。この装置を用いて、ウサギ胸部大動脈の血管縦軸方向(長軸)と血管円周方向(短軸)との差について検討した。ばらつきは目立つものの各試料の応力-ひずみ曲線自体は一定の傾向を掴むことができた。即ち、低ひずみ領域ではひずみの増加に対する応力の増加は緩やかであるが(自由伸縮相)、その後さらにひずみが加わると応力値の急激な増加がみられる(弾性相)。やがて応力値が最大値をとったところ(降伏点)で、以降は応力値が減少する(離断相)。統計学的手法により不良資料を除いた後、各領域で応力・ひずみ値の統計学的解析を行った。40mm/minの一定速度引張り試験において、ひずみ量はすべて短軸方向で大きく、自由伸縮相応力も短軸方向で有意に大きかった。弾性相・降伏点の応力は平均値の比較においては長軸で大きくなるが、有意な差としては認められなかった。すなわち、力のかかりはじめから断裂まで、短軸方向の方が長軸方向よりも伸びに対しての余裕があるといえる。一方、血管にかかる牽引力に対しては、力のかかりはじめは短軸方向に余裕があるが、更に牽引がすすみ離断までは長軸・短軸の差がなくなる。ただ降伏点を平均値としてみた場合、応力は長軸で大きいものの、ひずみ量は短軸で大きく、牽引過程を通じた血管全体の伸びからいえば、長軸の方があまり伸びずに切れる(ぜい性的である)ともいえる。0.000467m/s^2の加速度引張り試験においてもほぼ同様の結果が得られた。当初の目的血管である椎骨動脈は大動脈の構造とは全く異なるものであり、今回得られた大動脈の牽引特性をそのまま当てはめることはできない。本装置による、比較的大きな血管の牽引特性を更に解析する一方で、中レベルの動脈を挟めることか可能な把持部の開発が、今後の検討課題として残された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S Mimasaka, M Nata, M Funayama et al.: "A case of arotic dissection caused by blunt chest trauma"Forensic Sci Int. 132. 5-8 (2003)
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[Publications] 境 純, 舟山眞人, 那谷雅之他: "後頭蓋窩血腫が死因に関与していると考えられた1例"法医学の実際と研究. 46. 85-89 (2003)