2002 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍化リンパ球特異抗原(2D7)を標的とした造血器腫瘍の免疫療法の開発
Project/Area Number |
13557082
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 俊夫 徳島大学, 医学研究科, 教授 (20157374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 重人 中外製薬株式会社, 創薬第2研究所, 研究員
尾崎 修治 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (90314872)
安倍 正博 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (80263812)
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Keywords | 造血器腫瘍 / モノクローナル抗体 / 免疫療法 |
Research Abstract |
新しく同定した2D7抗原は,骨髄腫細胞のみならずT・B細胞リンパ腫細胞や白血病細胞などの造血器腫瘍細胞に高発現している一方で,正常のリンパ球には発現が低いことが明らかとなった。このことから,2D7抗原の発現は腫瘍細胞に特異的で,抗2D7抗体を用いた抗体療法は造血器腫瘍に対する新しい治療法となりうる可能性が示唆された。実際,抗2D7抗体の添加により,骨髄腫細胞株U266やリンパ腫細胞株Jurkatの細胞増殖が抑制された。さらに,抗2D7抗体と2次抗体を用い2D7抗原をクロスリンクしたところ,Annexin V陽性細胞の出現などアポトーシス誘導の所見が観察され,2D7抗原は細胞の増殖や生存に重要な役割を有している可能性が考えられた。以上のことから,2D7抗原は抗2D7抗体治療の標的抗原として機能するものと考えられた。 次に,患者由来の腫瘍細胞と正常細胞に及ぼす影響について検討した。骨髄腫患者より採取した骨髄細胞の培養中に抗2D7抗体を添加し,48時間後に細胞形態を観察したところ,正常の好中球やリンパ球には変化が見られなかったが,骨髄腫細胞には細胞質の空胞化が見られ,数的にも著しく減少していた。細胞死の機序についてフローサイトメトリーで検討したところ,細胞株を用いた場合と同様に,患者由来の骨髄腫細胞も抗2D7抗体によるアポトーシスが誘導された。 今後はin vivoにおける抗2D7抗体の抗腫瘍活性を検討し,2D7抗原のクローニングを行う。さらに臨床応用へ向け,より活性の高い抗2D7抗体を産生するクローンを得たのち,抗体工学の手法により抗体のヒト型化を進める予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Abe M: "Interleukin-1 beta enhances and interferon-gamma suppresses activin A actions by reciprocally regulating activin A and follistatin secretion from bone marrow stromal fibroblasts"Clin Exp Immunol. 126巻1号. 64-68 (2001)
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[Publications] Hashimoto T: "Superantigens and autoantigens may be involved in the pathogenesis of gastric mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma"Int J Hematol. 74巻2号. 197-204 (2001)
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[Publications] Abe M: "Role for macrophage inflammatory protein (MIP)-1alpha and MIP-1beta in the development of osteolytic lesions in multiple myeloma"Blood. 100巻6号. 2195-2202 (2002)
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[Publications] Abe M: "Potent induction of activin A secretion from monocytes and bone marrow stromal fibroblasts by cognate interaction with activated T cells"J Leukoc Biol. 72巻2号. 947-952 (2002)
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[Publications] Matsumoto T: "Comparative study of incadronate and elcatonin in patients with malignancy-associated hypercalcaemia"J Int Med Res. 30巻3号. 230-243 (2002)