2003 Fiscal Year Annual Research Report
新素材HAp/Col複合体とポリL乳酸製ケージを用いたハイブリッド型人工骨の開発
Project/Area Number |
13557126
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 聰一郎 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 助教授 (10242190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70108223)
四宮 謙一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20111594)
麻生 義則 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 助手 (50345279)
菊池 正紀 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・主任研究員 (00354267)
田中 順三 独立行政法人物質・材料研究機構, 生体材料研究センター・センター長 (10343831)
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Keywords | アパタイト / コラーゲン(HAp / Col) / 多孔体 / シート / 頚椎前方固定システム / 骨代替材料 |
Research Abstract |
アパタイト/コラーゲン(HAp/Col)とPLLA cageを用いた頚椎前方固定システムを開発した。本材に改良を加え多孔体とシートを作製した。 【HAp/Col多孔体】多孔質HAp/Colは崩れにくく弾力性を持っており、非常に扱いやすい。これまでの加圧形成したHAp/Colと比較すると、細胞が侵入しやすく、実質部(気孔以外の部分)の密度が高すぎないため、薬剤が浸透しやすく、また放出されやすい。ラットの大腿骨遠位部にφ3mmの骨孔を穿ち、多孔体を移植して骨伝導能を検討した。移植した多孔体は3日後より変性、吸収され始めた。1週後には未石灰化骨(osteoid)が骨髄内に形成された。2週後、新生骨(woven bone)が形成され、TRAP陽性の破骨細胞様細胞が変性した多孔体と新生骨表面に付着していた。4週経過すると、多孔体はほぼ骨に置換されていた。HAp/Col多孔体は移植後多数の破骨細胞が動員されて吸収され、骨芽細胞による骨形成を促進することが示唆された。 【HAp/Colシート】長さ数mmのHAp/Col繊維をPBS内で沈殿させ、これを加圧、脱水することによって厚さ0.5,0.9,1.5,3mmのHAp/Colシートを作製した。この材料は可塑性を有するとともに比較的表面が平滑であり細胞培養に適していると考え、以下の実験を行った。ラット大腿骨より骨髄間葉系細胞を採取しHAp/Colシートに播種して数日間培養した。シート上の細胞を可視化するため、播種前にあらかじめ骨髄間葉系細胞にLacZをアデノウイルスを用いて強制発現させた。シート上で2日間培養後、X-galによって細胞を染色すると、骨髄間葉系細胞が多数生着していた。この結果からHAp/Colシートは細胞培養の足場材料として有用であることが明らかとなった。 HAp/Colシートを骨に移植した際の物質特性を適正化するため、以下の実験を行った。ビーグル犬の両側大腿骨と脛骨顆部に骨孔を穿ち(直径6mm、長さ10mm)厚さの異なる前述のHAp/Colシートを移植した。シートを短冊状に切って重層し、枚数を変えて挿入した。骨孔のみ穿ったものを対照とした。術後2週毎にX-P軟線写真を撮影し骨欠損部における骨形成、骨折の有無を確認した。術後6,12週で採取し、試料を軸方向に縦割し、脱灰HE標本、非脱灰ビラヌーバ染色標本及びトルイジンブルー染色標本を作製して、担体の吸収及び骨形成状況を比較した。また、酵素化学組織法により骨芽細胞(Alp陽性)と破骨細胞(TRAP陽性)の数をカウントし、担体の吸収及び骨形成を定量的に検討している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kikuchi M., Itoh S., Matsumoto H.N., Koyama, Y., Takakuda K., Shinomiya, K., Tanaka J.: "Fibrillogensis of Hydroxyapatite/Collagen Self-Organized Composites."Key-Engineering Materials. 240-242. 567-570 (2003)
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[Publications] Itoh S., Tomioka H., Tanaka J., Shinomiya K.: "Relationship Between Bone Mineral Density of the Distal Radius and Ulna and Fracture Characteristics."J.Hand Surg.. 29. 123-130 (2003)
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[Publications] Itoh S., Kikuchi M., Koyama Y., Matumoto H.N., Takakuda K., Shinomiya K., Tanaka J.: "Development of a novel biomaterial, hydroxyapatite/collagen (HAp/Col) composite for medical use."Bio-Med.Mater.Eng.. (in press). (2004)
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[Publications] Itoh S., Kikuchi M., Koyama Y., Takakuda K., Shinomiya K., Tanaka J.: "Development of a Hydroxyapatite/Collagen (HAp/Col) Nano-composite as a Medical Device."Cell Transplant. (in press). (2004)
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[Publications] Kikuchi M., Ikoma T., Syoji D., Matsumoto H.N., Koyama, Y., Itoh S., Takakuda K., Shinomiya, K., Tanaka J.: "Porous Body Preparation of Hydroxyapatite/Collagen Nanocomposites for Bone Tissue Regeneration."Key-Engineering Materials. 254-256. 561-564 (2004)
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[Publications] 四宮謙一, 伊藤聰一郎, 山口勇, 田中順三: "再生医療の最前線そして未来"日刊工業新聞社. 160 (2003)
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[Publications] 伊藤聰一郎, 四宮謙一, 田中順三: "整形外科の最新医療"先端医療技術研究所. 431 (2003)