2003 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体に対するガス麻酔薬の分子的作用機構の解明
Project/Area Number |
13557130
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山倉 智宏 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80272847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Keywords | ガス麻酔薬 / グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / AMPA受容体 / カイニン酸受容体 / アセチルコリン受容体 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
NMDA受容体における揮発性麻酔薬およびガス麻酔薬に対する感受性を決定する部位を同定するために、NMDA受容体を構成するε2およがζ1サブユニットに部位特異的変異を導入した。 チャネルの内壁を形成し、マグネシウムや各種のチャネルブロッカーの作用に重要と考えられているε2およびζ1サブユニットの第二番目の疎水性領域に共通して存在するアスパラギンとその1つカルボキシル末端側に存在するε2サブユニットのアスパラギンをそれぞれグルタミンに置換変異した。これらの変異体において、イソフルレン、ハロセン、亜酸化窒素の作用を検索した結果、ζ1サブユニットのアスパラギンがε2サブユニットと異なり、これらの麻酔薬の感受性を決定していることが明らかになった。 さらに、NMDA受容体チャネルの生体での麻酔作用における関与を検索するために、4種類のεサブユニット(ε1-ε4)の中で生後最も多く発現しているε1サブユニットを欠損するノックアウトマウスにおいて麻酔薬感受性を解析した。臨床濃度でNMDA受容体に作用するケタミンとNMDA受容体に作用しないと考えられるペントバルビタールを投与し、催眠作用を反映すると考えられる立ち直り反射消失を評価した。ε1サブユニット欠損マウスは野生型に比べてケタミン感受性が有意に低下していた。しかし、ε1サブユニット欠損マウスは野生型に比べてペントバルビタールに対する感受性もケタミンと同様に低下していた。したがって、ε1サブユニット欠損マウスにおける麻酔薬感受性の低下は、標的の欠損のためというより、サブユニット欠損に伴う二次的脳機能変化(モノアミン系の機能亢進など)による可能性が考えられた。ノックアウトマウスを用いて麻酔薬標的を検索する場合、結果の解釈は必ずしも容易ではないことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Petrenko, A.B., et al.: "Unaltered pain-related behavior in mice lacking NMDA receptor GluR epsilonl subunit"Neurosci.Res.. 46(2). 199-204 (2003)
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[Publications] Petrenko, A.B., et al.: "The role of N-methyl-D-aspartate (NMDA) receptors in pain : A review"Anesth.Analg.. 97(4). 1108-1116 (2003)
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[Publications] Tobita, T., et al.: "The effects of isoflurane on conditioned inhibition by dorsal column Stimulation"Anesth.Analg.. 97(2). 436-441 (2003)