2001 Fiscal Year Annual Research Report
難治性の着床障害患者に対する自己リンパ球を用いた新しい不妊治療法の開発
Project/Area Number |
13557140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 信也 京都大学, 医学研究科, 助手
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283614)
巽 啓司 京都大学, 医学研究科, 助手 (10324633)
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
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Keywords | 着床 / hCG / 子宮内膜 / 不妊症 / 免疫療法 / 抹消血 / 妊娠 / 胚 |
Research Abstract |
ヒト体外受精-胚移植法など補助生殖医療技術の発達は目覚ましいが、最近形態良質胚の移植を繰り返しても妊娠に至らない難治性着床障害症例の存在がクローズアップされてきた。近年では胚培養技術が進歩しblastocyst移植が多くの施設で行われるようになったが、子宮内膜の胚受容能に問題がある症例では成果が上げられていないのが現状である。このような着床障害患者では内分泌学的治療に対して子宮内膜が不応性であり、その治療法の開発には全く新しい観点からのアプローチが不可欠である。 この問題に対して我々は自己の免疫細胞を利用した新しい治療法の実用化を進めてきた。この端緒となったのは妊娠黄体の研究であり、妊娠成立を認識したリンパ球が末梢血中を介して卵巣に至りhCGとともに妊娠黄体の機能を維持する可能性が示されたことによる。マウスを用いて実験したところ、子宮内においても末梢血中に存在する免疫細胞が内分泌系と協調して胚着床の準備・維持に働いている現象が観察された。そこで同様の作用についてヒトで検討したところ、末梢血中の免疫細胞が妊娠時に胚の子宮内膜面への接着と内膜内への浸潤を促進することが確認された。さらにこの免疫細胞の有する胚着床誘導作用はhCG刺激によって増強されることが示された。これらの結果から、「ヒト末梢血免疫細胞は妊娠成立時にhCGなどの胚からのシグナルで活性化され、末梢血中を介してhCGと協調して黄体を賦活化し、その結果分泌される性ステロイドホルモンとともに子宮内膜にも直接作用して子宮内環境を胚着床に有利な状態へと導いている」という末梢血中の免疫細胞による新しい妊娠維持機構の存在が示唆され、さらにこの概念を応用し、性ステロイドホルモンに不応性の着床不全と診断された症例に対して自己のリンパ球を子宮内膜に局所投与して子宮内膜を着床可能な状態へ誘導する治療法を確立する端緒が確立された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tatsumi et al.: "Expression of Ly-6A/E in the mouse uterus during implantation period"Mol Hum Reprod. 58. 159-165 (2001)
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[Publications] Egawa et al.: "Peripheral blood mononuclear cells in early pregnancy pregnancy promote invasion of human choriocarcinoma cell line, Be Wo cells"Hum Reprod. 17. 473-480 (2002)
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[Publications] Nakayama et al.: "Human peripheral blood mononuclear cells (PBMC) in early pregnancy promote embryo invasion in vitro : HCG enhances the effects of PBMC"Hum Reprod. 17. 207-212 (2002)
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[Publications] Park KR: "CD9 is expressed on human endometrial epithelial cells in association with integrins α6, α3 and β1"Mol Hum Reprod. 6. 252-257 (2000)