2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯槽骨の炎症性骨破壊を阻止する画期的骨吸収抑制薬の開発
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13557151
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40272603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 真理子 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (90334440)
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
山田 幸子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (10014078)
野中 希一 (株)エルクコーポレーション, ウイメンズヘルスケアー事業開発部, チームリーダー
脇 能広 (株)伊藤ハム, ヘルスサイエンス事業部医薬品グループ, 副主任研究員
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Keywords | 構造生物学 / TNF / RANKL / 破骨細胞形成抑制 / 環状ペプチド / CIAモデル / 炎症抑制 / 骨吸収抑制 |
Research Abstract |
TNFα/TNF受容体の相互関係において機能的に最も重要な接触ポイントの立体構造に似せてわずか9つのアミノ酸でできた環状ペプチドW9は、TNFαの作用をブロックする(Nature Biotechnology,15,1266-1270,1997)。我々はすでにW9が低カルシウム食飼育によるマウスの骨密度減少を完全に抑制し、低カルシスム食飼育による破骨細胞数の上昇もブロックすることを報告した(課題番号12641802)。今回我々は、生体分子間相互作用解析装置を用いてTNFと破骨細胞分化促進因子であるRANKLの双方ともW9にほぼ同様な親和性を持ってバインドすることを明らかにした。このことから、W9はTNFのアンタゴニストとしてだけではなく、RANKLのアンタゴニストとして働き、炎症性の骨吸収に対しても有力な抑制剤になる可能性が示唆された。そこで、非常に強い炎症と骨破壊が引き起こされるマウス関節炎(CIA)モデルを用いてW9の炎症性骨吸収に対する効果を検討した。DBA/1Jマウスを用いたこのモデルは、コラーゲンタイプ2を2回感作させ、2回目の感作以降に関節炎症状が現れる。W9を2回目感作の翌日から一日おきに3セット皮下投与を行った結果、関節炎スコアーを有意に下げ、脛骨の骨吸収をブロックした。RANKLのアンタゴニストであるosteoprotegerin(OPG)は、ラットのアジュバント関節炎モデルにおいて関節炎は押さえることが出来ず、骨吸収のみ抑制作用を発揮したことが報告されているが、W9は炎症にも骨吸収にも双方に抑制効果を発現することが明らかとなり、将来、歯周炎など炎症性骨吸収に対する抑制剤として非常に期待される。
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