Research Abstract |
本研究の目的は,脊柱彎曲症患者の体型に合わせて可変できる背板(バックレスト)、および安頭台を具備した歯科用ユニットを開発することにある.平成13年度は,ユニット製作上必要な高齢者の体型に関する基礎的データを収集するため,本研究の趣旨に同意した65歳以上の患者50名を被験者として身体計測を行った.平成14年度は,身体計測のデータをもとに,背板(バッグレスト)の開発を行った.この背板(バックレスト)は,2つの背板から構成され,背板の中にもう一つのサブ背板がある機構になっている.このサブ背板は,メインの背板と独立して昇降およびチルトができるようになっているが,初期位置では,メインの背板と一体化している.したがって,サブ背板を動かす必要のない一般患者の場合には,メインの背板の昇降およびチルト時にサブ背板も連動して動き,従来の背板と全く変わらない機構にした.しかし,脊柱彎曲症患者が来院した場合には,サブ背板を上昇およびチルトさせて,脊柱の彎曲に合わせることができる仕組みになってる.サブ背板の昇降およびチルトの可動範囲は,高齢者の身体計測の値をもとに決定した. 今年度(平成15年度)は,サブ背板に連動する安頭台(ヘッドレスト)を開発した.この安頭台の特徴は,水平診療時でも術者の足まわりを広くするために片持ち梁の構造とし,さらに,前傾後傾の調節が無段階で細かくできるようにした.今年度が最終年度に当たるため,背板および安頭台を組み込み,チェアーを完成させた. さらに,完成したチェアーに高齢者10人に座ってもらい,歯科治療のポジションをとってもらったが,サブ背板を昇降,チルトさせることにより,肩および背部のフィット感が増し,治療中,非常に楽で安定であるとの評価が得られた.また,歯科医師10人にも,治療のポジションをとってもらったが,歯科医師自身も安全で,しかも,楽であるという評価が得られた.
|