2002 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子徐放作用を有する機能性コラーゲン材料の開発および組織再生への応用
Project/Area Number |
13557166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 純造 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80029149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 卓也 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40324793)
寺岡 文雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (00099805)
荘村 泰治 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (10154692)
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Keywords | コラーゲン / ハイドロキシアパタイト / 生体吸収性 / 機能性ペプチド / ゼラチン / 担体 |
Research Abstract |
コラーゲンはその精製方法が確立されており、また製法により種々の形状を付与できる汎用性の高い材料である。我々は、薬剤徐放可能なコラーゲン生体材料の創製を目的に研究を遂行している。 I型コラーゲン(ブタ、皮膚由来)凍結乾燥粉末をpH3.0の塩酸溶液に浸漬することでコラーゲン溶液を得た。これに炭酸アパタイト粉末を含有しpH7に調整することでゲル化した後、室温にて乾燥しアパタイト・コラーゲン複合体膜を作成した。この膜の生体吸収性をin vitro、in vivoにて検討したところ膜作成時のコラーゲン濃度および含有アパタイト量の変化により生体吸収性を調節できることが明らかとなった。また、コラーゲン代謝にともなうアパタイトの放出も同時に確認された。 次にアパタイトへのタンパク質吸着によりタンパク質吸着アパタイトを作成し、このアパタイトからのタンパク質放出について検討したところ、異なるpH環境および異なるアパタイトの結晶性により、タンパク質放出を任意に調節できることが明らかとなった。以上の結果からアパタイト・コラーゲン複合膜を用いたタンパク質放出制御の可能性が示唆された。 また、コラーゲンの変性物質であるゼラチンを用いた糖質の放出制御を試みた。この研究はその機能が徐々に解明されつつある糖質の薬剤としての応用方法を具体化するものである。使用した糖質はヒアルロン酸で関節疾患や炎症において取り上げられる高分子多糖である。ヒアルロン酸を含有したゼラチンをグルタールアルデヒドを用いて架橋しゲルを作成した。このゲルは乾燥させることで膜やスポンジなどに成形でき、また、そのままでもインジェクタブルに使用できる。このゲルをPBSおよびゼラチナーゼ含有水溶液に浸漬したところ、ゼラチナーゼによるゼラチンの分解によりのみヒアルロン酸を放出すること、また、この放出は架橋剤濃度に依存していることが確認された。 このように原料の複合化条件やその周囲環境条件により複合体の分解を人為的に制御でき、また、生体活性物質の放出も調節できることが確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Matsumoto, M.Okazaki, J.Takahashi: "Crystallinity and solubility characteristics of hydroxyapatite adsorbed amino acid"Biomaterials. 23. 2241-2247 (2002)
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[Publications] T.Matsumoto, M.Okazaki, J.Takahashi: "Biodegradation of carbonate apatite / collagen composite membrane and its controlled"Journal of Biomedical and Material Research. 60・4. 651-656 (2002)
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[Publications] T.Matsumoto, M.Inoue, J.Takahashi: "Surface-Modified Hydroxyapatite as Carrier for Drug Delivery System"Journal Dental Research. 80. 1116 (2001)
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[Publications] T.Matsumoto, M.Okazaki, J.Takahashi: "Low crystalline hydroxyapatite as the controlled release carrier of basic protein"Journal Dental Research. 81. A191 (2002)
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[Publications] T.Hasegawa, T.Matsumoto, J.Takahashi: "Release kinetics of hyaluronan from gelatin/hyaluronan composite gel"Dental Materials Transaction. 16. 303 (2002)