2002 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス・高分子・金属複合構造を有する傾斜機能バイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
13557169
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大野 弘機 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70018430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (70168821)
松田 浩一 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20109458)
平井 敏博 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80014273)
広田 一男 株式会社ジーシー, 取締役・研究所長
川島 功 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50133244)
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Keywords | 傾斜機能 / 複合構造 / スポンジ構造 / インプラント / 焼付陶材 / 硬質レジン / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
貴金属合金を大気中の高温(700〜800℃)で酸化した場合、Cuが酸化し、外部酸化層(酸化皮膜)と内部酸化層が形成する。高温酸化で形成された内部酸化粒子を酸洗いで除去すると合金表面にミクロなスポンジ構造が形成する。この構造に樹脂を含浸させ、レジンと金属の機械的結合を高めることができる。内部酸化層の構造は卑金属成分の種類と量によって変化することが明らかになっている。しかし、Cuとともに、InとSnを添加した場合、内部酸化粒子が針状に発達し、酸洗いで充分に除去できないことが判った。これらの結果から、内部酸化と酸洗いを組み合わせてスポンジ構造を合金表面に創製する場合、卑金属成分としてCuのみを含む貴金属合金が適した合金であることが判明した。本研究では、合金表面のスポンジ構造を利用して異なる材料を複合化し、セラミックス・高分子・金属から構成される傾斜機能層を構築し、新たなバイオマテリアルを創製し、臨床応用を研究目的とした。 初年度においては、主に高分子・金属複合構造を有する傾斜機能構造の構築に研究の主力を傾注した。すなわち、Au-Pt-Pd-Cu合金について、スポンジ構造の形態変化に及ぼすCuの添加量(10%、20%、30%)の影響を調べた。これらの金合金を大気中で、800℃、1時間加熱し、高温酸化によって内部酸化粒子を形成させた。酸化層の垂直断面をSEM・EPMA(日立、X-650)で分析した。市販の酸洗い液(石福、金・パラクリーナー^<【○!R】>)を用いて、外部酸化層および内部酸化粒子を溶解した。酸処理後の合金組成をXPS(ESCA-850、島津)で分析した。金属接着プライマーとして、チオリン酸系(METALPRIMER II^<【○!R】>、G-C)を塗布後、接着性レジン(Super-Bond^<【○!R】>、サンメディカル)を接着させた。同様に断面をSEM・EPMAで分析した。スポンジ構造へのレジンの侵入は顕微レーザラマン分光分析装置(NR-1800,日本分光)で分析した。傾斜構造の結合強さは、機械的結合と化学的結合の要素に分離して評価した。 本年度は、(1)焼付陶材用メタルコーピングヘの応用、(2)インプラント構造体への応用を検討した。Cuを24mass%含有する14K金合金(Au-24Cu-14Ag-3Pd)の表面を高温酸化処理と酸洗いによってスポンジ構造とし、オペーク陶材を築盛して焼成した。断面を走査電子顕微鏡で調べたところ、陶材は細孔の中に侵入して焼結しており、合金と陶材が強固に結合した接合面が形成されていることが確認された。本手法を用いることによって、金属焼付陶材冠における陶材の剥離などの問題が解決でき、修復物の耐久性の向上に貢献できることが明らかとなった。また、表面をポーラスにした14K金合金をリン酸カルシウム溶液中で電流を印加して60℃で2時間加熱したところ、ハイドロキシアパタイト(HA)が細孔内に析出した。この結果から、骨伝導性を有する貴金属インプラントの開発が可能であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Hashimoto, H.Ohno, M.Kaga, K.Endo, H.Sano, H.Oguchi: "Fractographical analysis of resin-dentin bonds"American Journal of Dentistry. Vol.14, No.6. 355-360 (2001)
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[Publications] M.Hashimoto, H.Ohno, M.Kaga, H.Sano, K.Endo, H.Oguchi: "The Extent to which Resin can Infiltrate Dentin by Acetone-based Adhesives"Journal of Dental Research. Vol.81, No.1. 74-78 (2001)
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[Publications] M.Hashimoto, H.Ohno, H.Sano, FR.Tay, Y.Kudou, H.Oguchi, Y.Araki: "Micromorphological Changes in Resin-Dentin Bonds after 1 Year of Water Storage"DENTAL MATERIALS JOURNAL. 306-311 (2001)
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[Publications] M.Hashimoto, H.Ohno, M.Kaga, H.Sato, K.Endo, H.Oguchi: "The Extent to which Resin can Infiltrate Dentin by Acetone-based Adhesives"JOURNAL OF DENTAL RESEARCH. Vol.81, No.1. 74-78 (2002)
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[Publications] 疋田一洋, 舞田健夫, 小林国彦, 田中収, 藤井健男, 大野弘機, 内山洋一: "CAD/CAMシステムによって製作したコンポジットレジンクラウンの辺縁適合性"歯科材料・器械. Vol.21, No.5. 294-301 (2002)
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[Publications] 鈴木一臣, 大野弘機, 門麿義則, 倉田茂昭, 西山典宏, 平林 茂, 吉田靖弘: "次世代の硬組織接着材料と技術"歯科材料・器械. Vol.22, No.2. 119 (2003)
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[Publications] D.Kawahara, H.Ohno: "MATERIALS IN CLINICAL APPLICATIONS VI (COMPARATIVE STUDY OF IMMEDIATELY-LOADED AND LATE-LOADED DENTAL PROSTHESIS)"CIMTEC2002 TECHNA. 457 (2002)