2001 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性菌の遺伝子型による病原性診断法とDNAワクチン治療法の開発
Project/Area Number |
13557181
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 敦雄 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50193024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 茂久 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (00283797)
久保庭 雅恵 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00303983)
中川 一路 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70294113)
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Keywords | 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / DNAワクチン / 線毛 / 遺伝子型 / 遺伝子診断法 / ヒト上皮細胞 |
Research Abstract |
歯周病原性細菌P.gingivalisの菌体表層構造物である線毛は,本菌の様々な病原性の発揮に関与していると考えられている.我々はこれまで,線毛サブユニットFimA遺伝子(fimA)の塩基配列の違いに基づき線毛を5つの型(I-V型)に分類し,さらに歯周炎発症とII型線毛をもつP.gingivalisとの臨床的相関を報告した.しかし,線毛型の相違が本菌の病原性に及ぼす影響については不明である.そこで本研究では,線毛型の差異がP.gingivalisの口腔内上皮細胞への付着・侵入に及ぼす影響について検討を加え,歯周病診断およびDNAワクチン治療法に用いることを目的とした. P.gingivalis株はATCC33277(I型線毛), HW24D1(II型), 6/26(III型), HG564(IV型), HNA99(V型)を用いた.細胞は,ヒト咽頭粘膜上皮細胞株HEp-2細胞,ヒト口腔粘膜上皮細胞株KB細胞,ヒト歯肉繊維芽細胞を用いた.I-V型リコンビナント線毛(rFimA)を蛍光ビーズに結合させ,共焦点レーザー顕微鏡により細胞への付着・侵入を解析した.付着阻害実験には,抗線毛抗体,抗インテグリン抗体,RGDペプチドを用いた.菌体の細胞への付着・侵入実験には[^3H]-P.gingivalisを用いた. 上皮細胞へのrFimAの結合実験では,II型rFimAが他のrFimAと比較して3-4倍量の付着を示し,さらに細胞内への侵入も顕著であった.一方,繊維芽細胞への結合では型別による有意な差は認められなかった.rFimAの細胞への付着・侵入は,抗線毛抗体,抗α5β1インテグリン抗体により顕著に阻害された.II型線毛遺伝子を保有する株は,30%と高い上皮細胞への侵入率を示したが,III, IV, V型線毛株の侵入率は2-5%であった.これらの結果からII型線毛遺伝子を保有するP.gingivalisは口腔内上皮細胞への高い付着・侵入能を有し,歯周病の発症に強く関与していることが示唆された. これらの知見は,特定の遺伝子型を有するP.gingivalisが強い歯周病原性を発揮することを示唆しており,来年度以降の更なる検討により本研究の目的が達成されると考えられる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakagawa I, Amano A et al.: "Functional differences among FimA variants of Porphyromonas gingivalis and their effects on adhesion to and invasion of human epithelial cells"Infection and Immunity. 70(1). 277-285 (2002)
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[Publications] Kimura S, Amano A et al.: "Periodontopathic bacterial infection in childhood"Journal of Periodontology. 73(1). 20-26 (2002)
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[Publications] Nakagawa I, Amano A et al.: "Identification of a new variant of fimA gene of Porphyromonas gingivalis and its distribution in adults and disabled populations with periodontitis"Journal of Periodontal Research. (in press). (2002)
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[Publications] Amano A: "Molecular interaction between periodontal bacteria and host cells : Implication for the microbial pathogenesis of periodontal disease"Journal of Periodontology. (in press). (2002)