2001 Fiscal Year Annual Research Report
有機化合物を直接ビニル化およびエチニル化する新反応の開発と応用
Project/Area Number |
13557193
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30158117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 彰夫 電気化学工業(株), 中央研究所有機研究部, 部長(研究職)
有澤 美枝子 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50302162)
|
Keywords | ビニル化 / 触媒 / フェノール / エノラート / エチニル化 / 遷移金属 / スルホン酸 / ホスフィン |
Research Abstract |
ビニル基とエチニル基は有機化学で重要な極めて反応性の高い炭素数2の官能基である.特に付加反応を起こしやすい、従って、この官能基を有する化合物は、新しい生物活性や物性などの機能性発現が行える高分子化合物や複素環化合物などに誘導することができる.しかし、有機化合物にこれらを導入する直接的な方法がない.言い換えると、炭素-水素結合の水素原子をビニル基またはエチニル基で置換する汎用性の高い物質変換プロセスが知られていなかった.従って、従来のビニルとエチニル化合物の合成は多くの場合、一度炭素-水素結合を炭素-ハロゲン結合に変換する迂回的方法であった.水素原子を直接ビニル基に変換する反応の開拓は、有機合成化学の効率化という観点から基礎、応用両分野にわたり、極めて重要な問題である.本研究はこれらを完全に解決し満足できる次世代ビニル化およびエチニル化反応を開拓するものである. ortho-クレゾールが四塩化スズに対して、触媒回転率(TON)10程度でビニル化できることがわかり、この触媒反応を完成した.エノラートのビニル化について、ケトン以外にチオエステルや活性メチレン化合物のビニル化にも利用できることを示した.一般に、共役エノンへの異性化は起こらない.困難と考えられるマロン酸エステルのビニル化もこの方法によって効率的に行われたことは特筆に値する.なお、フェノールとエノラートを直接エチニル化する反応も完成に近づいている. 遷移金属錯体とスルホン酸を組み合わせる触媒を用いて、ホスフィンのビニル化反応をアレンや共役ジエンに適用することに成功した.現在、この方法をイオウ、セレンなどの他のヘテ原素化合物のビニル化に発展させる研究を進めている.
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] M.Arisawa, R.Momozuka, M.Yamaguchi: "Rhodium Catalyzed Anti-MarkovnikovAddition of Triphenylphosphine to 1,3-Dienes a Novel Method to Separate Pure (Z)-1,3-Alkadienes from Isomeric Mixtures"Chem.Lett.. (in press).
-
[Publications] M.Arisawa, C.Miyagawa, M.Yamaguchi: "Equatorial Preference in the GaCl_3-Promoted Ethenylation of Cyclic Ketones"Synthesis. (in press).
-
[Publications] F.Yonehara, Y.Kido, S.Morita, M.Yamaguchi: "GaCl_3 Catalyzed Arylation of Cycloalkanes"J.Am.Chem.Soc.. 123. 11310-11311 (2001)
-
[Publications] M.Arisawa, C.Miyanaga, S.Yoshimura, Y.Kido, M.Yamaguchi: "GaCl_3-Promoted Ethenylation of Thioester Silyl Enolate and Dienolate with Silylethyne"Chem. Lett.. 2001. 1080-1081 (2001)
-
[Publications] M.Arisawa, K.Akamatsu, M.Yamaguchi: "GaCl_3-Promoted Ethenylation of Silylated β-Dicarbonyl Compound with Silylethyne.Synthesis of Ethenymalonate"Org.Lett.. 3. 789-790 (2001)
-
[Publications] K.Kobayashi, M.Yamaguchi: "Catalytic Ethenylation Reaction of Phenol Using Sn CI_4"Org.Lett.. 3. 241-242 (2001)
-
[Publications] Y.KIdo, F.Yonehara, M.Yamaguchi: "Aromatic Alkenylation Using Electrophilic Organogallium Reagent Generated from Allenylsilane and Ga Cl_3"Tetrahedron. 57. 827-833 (2001)