2003 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性医薬品の高純度合成を指向した効率不斉合成プロセスの開発と応用展開
Project/Area Number |
13557196
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
國枝 武久 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80012649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 浩文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10274713)
石塚 忠男 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (60176203)
有田 雅文 三菱ウェルファーマ株式会社, 研究部長
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Keywords | 2-オキサゾリジノン / 2-イミダゾリジノン / 2-チアゾリジノン / 不斉アルキル化 / 水素移動型不還元 / 2-チアゾリン / 不斉Diels-Alder反応 / キラル合成子 |
Research Abstract |
本研究では、特徴ある"屋根付き"不斉空間をもつ2-オキサゾリジノン、2-イミダゾリジノン及び2-チアゾリジノン系不斉源を利用した効率不斉合成プロセスの開拓及び応用展開を目的としている。本年度は引き続きこれら特異な不斉空間の触媒的不斉合成プロセスへの応用展開と、最終年度であるので取りまとめを行った。 (1)不斉アルキル化反応:"屋根付き"2-チアゾリジノン体の開環により得られる2-アミノチオール系不斉配位子とPd(II)との錯体を触媒とするアリルアセテートの不斉アルキル化反応において、本触媒が高い収率と選択性を示すと共に、活性及び選択性がチオール部位の修飾によりコントロール出来ることを明らかにした。 (2)水素移動型不斉還元反応:"屋根付き"2-イミダゾリジノン体の開環により得られる1,2-cis型ジアミン系不斉配位子とRu(II)との錯体を触媒とする各種ケトン類の水素移動型不斉還元反応において、高い選択性と汎用性が示された。 (3)不斉Diels-Alder反応:"屋根付き"2-アミノチオール系不斉配位子より容易に誘導される高度遮蔽型2-チアゾリン体を金属触媒配位子とする不斉Diels-Alder反応において高収率及び高選択性でendo付加体が生成した。 (4)多日的キラル合成子の開発:"屋根付き"2-アミノアルコール体由来のキラルオキサザボロリジン-ボラン試薬を利用した触媒的不斉脱アセチル化反応による、4,5-ジメトキシ-2-オキサゾリジノンの簡易キラル合成を達成した。本化合物はα-アミノアルデヒドやα-アミノ酸のキラル合成子としてその汎用性が期待できる。 以上の成果により、特徴ある不斉空間を有する本骨格群は、高効率不斉配位子として各種触媒的不斉合成プロセスにおいて極めて有効であることが実証された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Isozumi, S.Hoshimoto, H.Matsunaga, T.Kunieda: "New Route to Chiral Synthons for 2-Amino Thiols"Heterocycles. 59. 323-332 (2003)