2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13557199
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宇野 公之 熊本大学, 薬学部, 教授 (00183020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々本 一美 同仁化学研究所, 技術本部長
石川 吉伸 熊本大学, 薬学部, 助手 (00305004)
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Keywords | ポルフィリン / 光切断 / 共鳴ラマンスペクトル / テロメア |
Research Abstract |
本研究では、従来の研究成果を踏まえた上で新規な水溶性ポルフィリンを設計・合成し、様々な塩基配列を持つDNAに対する切断活性の測定を通して、塩基配列特異的な遺伝子切断試薬の開発を目指した。前年度の研究から、亜鉛錯体としたときにDNA光切断活性が著しく向上することがわかったので、銅を始めとする他の金属錯体の場合についてあわせて検討した。まず、銅ポルフィリン錯体とDNAとの結合性を吸収スペクトル及び共鳴ラマンスペクトルにより解析したところ、ポルフィリンの平面性向上によりポルフィリンの自己会合が優勢になることがわかった。この特性を生かし、テロメラーゼ活性を阻害する制ガン剤としてのポルフィリン錯体の利用を試みた。ヒトテロメアはTTAGGGという塩基の繰り返し配列をもち、四重鎖構造を形成しうる。この配列に対する銅ポルフィリン錯体の結合性を検討し、外部スタッキングにより結合することを支持する結果を得た。また、銅ポルフィリン錯体は四重鎖構造を著しく安定化したことから、テロメラーゼ活性を阻害する可能性が強く示唆された。さらに、周辺置換基として長鎖カチオン性残基を導入したポルフィリンを数種合成した。これらは同様に四重鎖構造を著しく安定化したことから、カチオン性基の存在が結合に多大な寄与をしているものと考えられた。このように、塩基配列特異的にDNAが取りうる構造に対し、それを認識して選択的に結合するポルフィリン性薬物を合成することができた。
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