2002 Fiscal Year Annual Research Report
遠隔看護における健康状態のアセスメント手法の開発に関する研究 -カオス分析によるバイタル情報の活用-
Project/Area Number |
13557230
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
川口 孝泰 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40214613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜山 治 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (00185076)
松浦 和幸 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (80254465)
太田 健一 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (20254451)
鮫島 輝美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (60326303)
東 ますみ 兵庫県立看護大学, 附置研究所推進センター, 講師 (50310743)
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Keywords | 遠隔看護 / 指尖容積脈波 / リアプノフ指数 / バイタルサイン / カオス分析 / 測定時体位 |
Research Abstract |
遠隔看護を実践するためには、遠隔地からバイタル情報を取得して、クライエントの健康状態を総合的に把握する必要がある。従来のバイタル情報は、体温・脈拍・血圧を線形時系列データとして捉えていた。しかし、この方法では、遠隔看護における看護観察情報に必要なバイタル情報を得ることは困難である。そこで本年度の研究は、多様な情報を含んだ非線形時系列データである指尖容積脈波がバイタル情報として有用であるかを検証するために、測定体位の違いによる影響を明らかにした。 【方法】 1.対象:19〜27歳の健康なボランティア6名である。実施にあたっては、研究の趣旨を文書と口頭で説明した後、研究協力の同意を得た。 2.実験条件:1)被験者側の条件:カフェイン摂取の禁止など自律神経活動に影響を及ぼす因子の統制を行った。2)環境条件は、室温22-24℃、湿度50%。3)測定体位は、安静仰臥位・座位・立位をそれぞれ20分間保持し、両上肢は常に心臓の高さと同じ位置になるように調整した。4)手順:右手第2指の先端に指尖容積脈波ピックアップ(コンピュータコンビニエンス社:BC2000)を装着し、左上腕にマンシェット、左手首にトノメトリー(日本コーリン社:JENTOW7700)を装着した。仰臥位→座位→立位を連続して行い、その間、指尖容積脈波は2分毎、血圧は5秒毎に測定した。 3.分析方法:指尖容積脈波は、25秒間5000ポイントをパソコンに取り込み、カオス解析を行った。鋭敏さやアトラクターの軌道不安定性を表す第1リアプノフ指数、系の長期予測不可能性を表すKSエントロピーについての定量的評価を行った。 【結果・考察】 体位の変化に伴う血圧の変動と、指尖容積脈波のカオス解析によって得られた第1リアプノフ指数・KSエントロピーには関連がみられた。これは、脈波が心臓のポンプ作用によって生じる動脈系圧波動の伝播であることからくると考えられる。しかし、血圧との関連がみられなかった事例があった。指尖は、主としてαアドレナリン作動性の交感神経活動を反映しているため、20分間同じ姿勢を保持することが苦痛であったり、眠気を払おうとするストレスが影響したと思われる。このように、心理的な多様な情報を含んだ複雑系の指尖容積脈波は、ICTを通じて取得するバイタル情報として有用であることが示唆された。現在は、これらの実験結果を活用した遠隔看護の実際に取り組んでおり,その実用性の評価を行っているところである。
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Research Products
(2 results)