2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13558074
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩楯 好昭 徳島大学, 総合科学部, 助手 (40298170)
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Keywords | ゾウリムシ / カルシウム / 細胞 / 繊毛 |
Research Abstract |
繊毛虫は,繊毛打方向の逆転,細胞体の収縮,エキソサイトーシスといった細胞機能をもつ。これらはいずれも,細胞外からの化学的・機械的刺激を受け,細胞内カルシウムイオン濃度の変化を介して引き起こされる。しかし,これらがそれぞれ独立に制御されるメカニズムは解らないところが多い。 本研究は,この3つの機能と外部の刺激,および細胞内カルシウムイオン濃度の細胞内での振る舞いの関係を明らかにすることで,繊毛虫が化学物質センサーとして用いることができるか検討した。 我々は,光路の切り替えなしに細胞内カルシウムレベルと明視野像を同時に取得できる実験系を作成した。カルシウムレベルは,カルシウム感受性蛍光色素カルシウムグリーンを細胞内へ顕微注射により導入し,その蛍光強度を光電子増倍管により取得した。ゾウリムシへ化学物質をスプレーしたときの細胞内カルシウムレベルの変化と細胞機能の発現の様子を観察した。ゾウリムシにピクリン酸,エタノールをスプレーしたとき,ゾウリムシはいずれの場合もエキソサイトーシスを引き起こしたものの,細胞内カルシウムレベルを記録した波形は異なるものであった。ピクリン酸刺激では細胞内カルシウムレベルは高いまま保たれ,エタノール刺激では数秒間のカルシウムトランジェントとして記録された。これらの結果は化学物質によって細胞内のカルシウムの変化の仕方が異なることを示している。 我々は,また,大きな繊毛をもつ繊毛虫ディディニウムを用いて繊毛逆転時の繊毛内カルシウムレベルの変化を記録した。外部からの刺激により,ディディニウムは繊毛内のカルシウムレベルを均一に上昇させながら繊毛を逆転させた。 現在,これらの研究成果をまとめ,英文雑誌に投稿準備中である。
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