2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質の効率的無害化を目指した吸着性光触媒無機シートの開発
Project/Area Number |
13558075
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北岡 卓也 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (90304766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 康彦 栗田工業(株), 開発本部・技術開発センター, 主席研究員
割石 博之 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50253513)
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Keywords | 酸化チタン / ゼオライト / 固体触媒 / ペーパー触媒 / 協奏的分解効果 / 中間体捕捉効果 / 空隙構造効果 / 室内・大気・水環境浄化 |
Research Abstract |
固体触媒粉末を繊維ネットワークに担持した新規機能材料「ペーパー触媒」の開発と機能設計について、主に酸化チタン光触媒を中心に検討を行った結果、環境汚染物質の光分解浄化:フォトレメディエーションに向けた種々の材料機能を見出した。 1.吸着性光触媒無機複合シートの水系利用 近年、河川・湖沼から高濃度で検出され、その環境ホルモン作用が危惧されているビスフェノールAについて、ペーパー光触媒による分解処理を試みた。その結果、(1)粉末と比べて水系で格段に取り扱い易い、(2)回収が容易で繰り返し利用が可能、などの基本的な材料特性に加えて、(3)フェノール核からの水素原子引き抜きによる分解経路の推定と蓄積中間体の同定、(4)複合化したゼオライトによる反応中間体の捕捉効果と分解促進効果、(5)繊維ネットワークの空隙構造を保つことで、見かけの光触媒効果を高い水準で維持、などの興味深い材料機能を見出した。これらの機能はペーパー触媒の調製段階で制御可能であることから、触媒自体を高機能化することなく、その実用効果を著しく向上させる触媒系材料の有用な設計コンセプトとなり得る。 2.多孔質ファブリクス担持による見かけの触媒効率の増幅機構 光触媒反応は酸化チタン表面で起こるため、希薄成分では固体表面への物質移動が律速となる。これまでの検討の結果、閉鎖空間における自由拡散系では、見かけの触媒効率が元の触媒粉末単体を著しく上回る現象が見出され、この効果が繊維ネットワークに由来する数マイクロメートルオーダーの空隙容積と高い相関を示すことが明らかとなった。これについても材料調製時に制御可能であり、触媒利用において有用な知見である。 3.ペーパー触媒の今後の展開 本研究で得られた粉末状固体触媒のシート成型による効果発現・機能制御に関する知見は、「環境分野」以外に応用することも可能であり、触媒工業など物質生産プロセスへの展開が期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ichiura H., Nozaki M., Kitaoka T., Tanaka H.: "Influence of uniformity of zeolite sheets prepared using a papermaking technique on VOC adsorptivity"Advances in Environmental Research. 7. 975-979 (2003)
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[Publications] Fukahori S., Ichiura H., Kitaoka T., Tanaka H.: "Photocatalytic decomposition of bisphenol A in water using composite TiO_2-zeolite sheets prepared by a papermaking technique"Environmental Science and Technology. 37. 1048-1051 (2003)
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[Publications] Ichiura H., Kitaoka T., Tanaka H.: "Photocatalytic oxidation of NOx using composite sheets containing TiO_2 and a metal compound"Chemosphere. 50. 855-860 (2003)
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[Publications] Ichiura H., Kitaoka T., Tanaka H.: "Preparation of composite TiO_2-zeolite sheets using a papermaking technique and their application to environmental improvement, II. Effect of zeolite coexisting in the composite sheet on NOx removal"Journal of Materials Science. 38. 1611-1615 (2003)
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[Publications] Iguchi Y., Ichiura H., Kitaoka T., Tanaka H.: "Preparation and characteristics of high performance paper containing titanium dioxide photocatalyst supported on inorganic fiber matrix"Chemosphere. 53. 1193-1199 (2003)
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[Publications] Fukahori S., Ichiura H., Kitaoka T., Tanaka H.: "Capturing of bisphenol A photodecomposition intermediates by composite TiO_2-zeolite sheets"Applied Catalysis B : Environmental. 46. 453-462 (2003)