2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経機能解析のための弱毒単純ヘルペスウイルスベクター系の開発
Project/Area Number |
13558094
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
白木 公康 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50135745)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / ウイルスベクター / 遺伝子治療 / 中枢神経系 / 脊髄前角細胞 / 潜伏感染 |
Research Abstract |
中枢神経系内で、外来遺伝子を発現する実験系あるいは遺伝子治療のベクターとして、私たちは,単純ヘルペスウイルス(HSV)の神経親和性の特徴から、βガラクトシダーゼ(β-gal)を発現する弱毒単純ヘルペスウイルス(HSV)をベクター作製し、広範囲への遺伝子導入が可能で,中枢神経系での長期にわたる安定した遺伝子発現が可能なベクターを開発した(Neurosci Lett 245:69-72、Gene Ther 7:934-941)。本ベクターでは弱毒性によりほぼ病原性をコントロールし各遺伝子の発現を望む領域を制御できることを本研究で明らかにした。すなわち、筋肉内接種により、病原性を示すことなく、脊髄前角神経細胞で外来遺伝子を長期にわたり発現できることを確認した(Gene Therapy 7:934-941)。そして,HSVに免疫を有する動物でも遺伝子発現ができることと同じ接種ルートを使用して複数個の遺伝子を導入できる可能性を確認した(Gene Therapy 8:1180-1187)。さらに,抗ウイルス薬ガンシクロビル(GCV)により、発現領域の制御でき、本ウイルスベクターの増殖・発現領域の制御・潜伏感染化の過程における外来遺伝子発現と生理学的機能(Acoustic Startle ResponseとPrepulse Inhibition)に影響しないことを確認した(Neurosci Res 45:233-241、この論文は「hot topic」journal articleとされた)。また、脊髄前角細胞での遺伝子発現に伴う前角細胞機能と神経伝導速度の変化と筋肉における遺伝子発現について検討をほぼ終えて、投稿を準備している。この過程で、このベクターにより、ヌードマウスで移植脳腫瘍の治療に使用できることを明らかにした(Cancer Sci 95:990-998)。
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Research Products
(6 results)