2003 Fiscal Year Annual Research Report
自然発症アポE欠損高脂血症マウスを用いた動脈硬化原因遺伝子群の解明
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13558101
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
松島 芳文 埼玉県立がんセンター, 研究所・研究室, 主任研究員 (10094955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 正芳 埼玉がんセンター研究所, 研究室・主幹 (10128712)
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Keywords | 高脂血症 / 動脈硬化 / 疾患モデル / SHLマウス / 皮膚黄色腫 / コンジェニックマウス / 機能性食品 / C57BL / 6-Apoe^<- / -> |
Research Abstract |
我々は、日本産野生マウス由来の近交系マウス作出中に、自然発症高脂血症(SHL)マウスを発見し、その原因がアリポタンパクE(アポE)遺伝子の変異によるアポEの欠損であることを明らかにした。アポEを欠損するSHLマウス主要な表現型は、血清総コレステロールの高値、粥状動脈硬化症および重症の皮膚黄色腫であり、極めて短命であった。興味深いことに、このSHLマウスをアポEノックアウト(C57BL/6-Apoe^<-/->)マウスと比較すると、症状に著明な差異が認められた。この差異の主因としてC57BL/6-Apoe^<-/->マウスがヨーロッパ産野生マウス由来のラボラトリーマウスであるC57BIの遺伝的背景を持つのに対し、SHLマウスのそれは日本産野生マウス由来であることが考えられた。そこで、遺伝的背が種々の表現型に及ぼす影響を明らかにするためSHLマウスのアポE変異遺伝子を、動脈硬化に対する感受性が異なる3系統の近交系マウスに導入したコンジェニックマウスを完成した。これらはオーダーメイド医療の疾患モデルとして有用である。次いで、SHLマウスと3系統コンジェニックマウスを用いた種々の動脈硬化予防機能性食品成分の効果判定評価系を確立した。また、SHLマウスの疾患モデルとしての実用化に向けて、特許の取得、理化学研究所つくばリソーセンターへのマウス寄託を行った。今日まで使用可能なアポE欠損マウスは、発生工学的に作出されたC57BL/6-Apoe^<-/->マウスが唯一であり、米国ジャクソン研究所から輸入せざるを得ないのが現状であったが、SHLマウスとその3系統コンェニックマウスが平成16年4月から市販されることになった。また自然突然変異由来であるSHLマウスはC57BL/6-Apoe^<-/->マウスが組換えDNA動物として種々の規制を受けるのに対して、全く自由な点も実験動物として有用である。SHLマウスは我が国で発見・開発されたモデルマウスであり、世界で初めての自然発症アポE欠損マウスでもある。これら使用した動脈硬化の解明、創薬研究により、独創性に富む新しい成果が多数生まれることが期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T Ide, Y Matsushima et al.: "Effect of n-3 fatty acids on serum lipid levels and hepatic fatty acid metabolism in BALB/c.KOR-Apoe(Shl) mice deficient in apolipoprotein E expression"The Journal of Nutritional Biochemistry. 15・3. 169-178 (2003)
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[Publications] 松島 芳文(分担執筆): "モデル動物の作製と維持(森脇和郎, 米川博通, 山村研一編)"(株)エル・アイ・シー 浅田恵子. 1000 (2003)