2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13558104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今村 保忠 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40201339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 龍郎 新田ゼラチン株式会社, 生物科学研究所, 所長
林 利彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60090528)
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Keywords | IV型コラーゲン / V型コラーゲン / レンズカプセル / 線維芽細胞 / メサンギウム細胞 |
Research Abstract |
1.今年度は、ウシ眼球をオーストラリアから輸入することが可能になった。しかし、輸入眼球よりレンズカプセルの摘出は多少の困難があった。輸送期間中の鮮度の低下が原因と思われる。さらに、レンズカプセルからのIV型コラーゲンの抽出効率の約60%に低下していた。輸送方法の検討が必要と考えられる。また、ブタ眼球よりレンスカプセルを摘出し、IV型コラーゲンの抽出を行った。抽出効率は良いが、ウシに比べレンスカプセルが小さいため最終的に回収されるIV型コラーゲンの量が少なかった。しかし、ウシ由来のものと同様にゲル化可能で、細胞培養基質として利用可能であることが分かった。 2.IV型コラーゲンを産生する培養細胞を中空糸膜を用いた培養装置で大量培養を行い、培養液からIV型コラーゲンの単離を試みた。細胞はヒト胎児肺由来線維芽細胞とヒト腎臓メサンギウム細胞を用いた。約3か月それぞれの細胞で大量培養を行ったが、培養液中に分泌されるIV型コラーゲン量に格段の改善は見られず、中空糸膜を用いた培養系の有効性は確認されなかった。さらに、他のIV型コラーゲン産生の可能な培養細胞の検索を続けている。 培養液からのIV型コラーゲンの単離には、抗体アフィニティーカラムの他にヘパリンを用いたアフィニティーカラムも有効であることが分かった。 3.IV型コラーゲンの2種類の会合体(ゲルと非ゲル)が連続的に変化する培養基質上でヒト平滑筋細胞を培養したところ、細胞は会合体の種類に応じてそれぞれに特徴的な応答を示した。2つの会合体は電顕による観察ではほとんど差異が認められないが、ゲルであるかどうか、すなわち会合体の水の環境が違う。細胞がそのような差異を識別できることは大変興味深い。 4.IV型コラーゲンを用いた培養系の利点の一部を他のコラーゲンで代用できるか検討した。IV型コラーゲンが存在する基底膜近傍にはV型コラーゲンが比較的多く存在する。ウシ角膜よりV型コラーゲンを単離し、再構成したV型コラーゲン線維をコートしたり、培養液中に添加して細胞の挙動を観察した。V型コラーゲン線維の表面は、細胞の接着は可能であるが、プラスティックの培養皿との接着は弱いと考えられる現象を見いだした。V型コラーゲン分子には多くのリジン残基に糖が付加しており、その割合はIV型コラーゲンに近い。IV型コラーゲンにおいても同様の作用が考えられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] TAKEMURA, Y., MIZUNO, K., IMAMURA, Y., HAYASHI, T.: "Preferential Liberation of Type V Collagen from Bovine Corneal Stroma by Limited Treatment with Proteases"CONNECTIVE TISSUE. (発表予定). (2003)