2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞との融合能をもつ新しい人工遺伝子デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
13558115
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90215187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
森本 惠治 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (20239693)
高岸 徹 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50081336)
安河内 徹 日本油脂株式会社, 油化学研究所, グループリーダー(研究職)
柳衛 宏宣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教授 (30212278)
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Keywords | 遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / 遺伝子デリバリー / ナノバイオ / リポプレックス / リポソーム / デンドリマー / 生体材料 |
Research Abstract |
細胞との融合を利用することによって、効率よく遺伝子を細胞内に導入し効果的な遺伝子発現を実現する、新規な遺伝子デリバリーシステムとして、種々の世代数のポリアミドアミンデンドロンを親水性基とするカチオン性脂質を合成し、その遺伝子導入活性について検討した。これらのデンドロン脂質の遺伝子導入活性は、その世代数の増加と共に増大した。また、膜融合性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンの複合化によって、さらに高まることがわかった。これは、これらの脂質とDNAによって形成される複合体が、細胞との膜融合能およびエンドソームの酸性化を抑制する緩衝能をもつため、これらの相乗効果によって導入遺伝子の効果的な細胞質への移行を促し、高い遺伝子発現に導いたものと考えられた。また、このデンドロン脂質/膜融合性脂質/遺伝子複合体の遺伝子導入活性に及ぼす血清の効果について検討したところ、デンドロン脂質とDNAの電荷比を調節し、また、複合体形成時のインキュベーション時間を延長することによって、血清存在下においても高い遺伝子導入活性を発現する複合体の調製が可能であることがわかった。一方、カチオン性脂質/遺伝子複合体への膜融合活性高分子の複合化による遺伝子導入活性の向上についても検討した。すでに膜融合活性高分子、サクシニル化ポリグリシドールを開発しているが、ここでは、疎水性基の導入によるこの高分子の遺伝子導入活性の向上について検討した。アセチル基やプロピル基を導入したサクシニル化ポリグリシドールを調製し、その膜融合活性について調べた。疎水性基をもつ高分子は、より高いpH領域で側鎖カルボキシル基のプロトン化が起こったが、脂質膜との相互作用は、疎水性基の導入によって弱まることがわかった。今後さらに、高い膜融合活性の発現に適した分子構造の解明を試みる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 河野健司: "デンドリマーのDDSへの応用"Drug Delivery System. 17. 462-470 (2002)
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[Publications] 河野健司: "温度感受性ポリマー修飾リポソームの内包物質放出挙動"高分子加工. (印刷中).
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[Publications] C.Kojima et al.: "Design of biocompatible dendrimers with environment-sensitivity"Macromolecules. (印刷中).
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[Publications] T.Mizoue et al.: "Targetability and intracellular delivery of anti-BCG antibody-modified, pH-sensitive fusogenic immunoliposomes to tumor cells"Int.J.Pharm.. 237. 129-137 (2002)
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[Publications] K.Kono et al.: "Effect of poly(ethylene glycol) grafts on temperature-sensitivity of thermosensitive polymer-modified liposomes"J.Controlled Release. 80. 321-332 (2002)