2004 Fiscal Year Annual Research Report
文化による死生観・介護観の差異・変容に関する心理福祉学的調査研究
Project/Area Number |
13571007
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
中村 俊哉 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (80274398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 幸 福岡県立大学, 人間社会学部, 助教授 (10320384)
倉元 直樹 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助教授 (60236172)
中島 義実 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (20335954)
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Keywords | 死生観 / ターミナルケア / スピリチュアル / シャーマニズム / インド / バリ島 / うつ状態 |
Research Abstract |
アジア地域(日本、インドネシアのバリ島、ジャワ島、インド、中国)の死生観、ターミナル観を、文献法およびインタビュー法により調査した。また国際比較のための尺度(空想対話尺度、輪廻、終末論、死者との対話、神との対話、家族の死、抑うつなどの尺度)を含んだ質問紙調査を英語、インドネシア語、中国語版を用いて、インドネシア(バリ地区)、インド(ベンガル地区)で実施し、結果を「死生観と死別体験の国際比較」に報告した。引き続き中国遼寧省(大連)、雲南省(昆明)、およびインドネシア(ジャカルタ)で実施することができた。継続しているインタビュー法では、バリ島、ジャカルタ等の死生観を把握することができ、シンクレティズムについての知見を得た。これらは「インドネシアの死生観」として報告した。 質問紙調査の結果は、地域により大きな違いが出た。「空想対話」傾向はインド、中国で高く、沖縄、福岡は低い。死への態度尺度のうち「受容」はジャカルタ、インドで高く、「解放」はバリ島、インドで高かつた。「祖先対話尺度」は、バリ島、福岡、沖縄、中国で高く、ジャカルタ、インドで低い。宗教の分類からは、イスラム教で低くバリヒンドゥーで高い。神との対話を示す「神尺度」では、バリ島、ジャカルタが高く、日本、中国は低い。「輪廻尺度」は、バリ島、インドで高い。「変容シャーマニズム尺度」は、バリ島、インドのほか、イスラム圏のジャカルタでも高い。一方、実際のシャーマンと関わるものは、バリ島、インド、沖縄の順で高く、福岡、ジャカルタでは低い。 地域の特徴と宗教の特徴がさまざまに交錯してこれらの様式が存在していた。また、時代による変化も検討した。お盆の儀式、共同体のあり方、神や祖先との対話(空想対話)と、死別うつ状態を測る尺度(ADDS,GHQ12)との関連も、文化によって異なることが示された。.
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Research Products
(6 results)