2003 Fiscal Year Annual Research Report
難民をめぐる社会・政治的諸力の相互作用-アフリカ北東部・大湖地方における強制移住、国家、国際機関、NGO
Project/Area Number |
13571017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗本 英世 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10192569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 進一 日本貿易振興会, アジア経済研究所新領域センター, 研究員
岡崎 彰 神奈川大学, 経営学部, 助教授
松田 素二 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50173852)
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Keywords | 難民 / 国内避難民 / 帰還民 / 北東アフリカ / 東アフリカ / 紛争 / 内戦 / 人道援助 |
Research Abstract |
研究代表者の栗本英世は、2月にスーダンの首都ハルツームにおいて、南部からの国内避難民のライフヒストリーと社会・文化変容に関する調査をおこない、エチオピアの首都アディスアババで、ガンベラ地方における地元住民とスーダン難民との摩擦と紛争に関する調査をおこなった。また、ハルツーム大学アフリカ・アジア研究所、アディスアババ大学エチオピア研究所との研究打合わせをおこなった。 研究分担者の岡崎彰は8〜9月に、昨年度に引き続きスーダンのハルツームにおいて青ナイル地域からのガムク人国内避難民の調査研究を行い、また今年度はじめてケニアのナイロビにおいてスーダンからの政治的難民の調査研究を実施した。調査内容は、難民のライフヒストリー、異邦の地での生活戦略とエスニシティの変容、スーダンの和平プロセスに対する難民の反応などである。 研究分担者の武内進一は、8〜9月にルワンダにおいて、紛争後に難民が帰還した農村における社会・経済的変容、帰還民と地元民との関係に関する現地調査を継続するとともに、ルワンダ国立大学との研究打合わせをおこなった。また、「人間の安全保障」と難民問題との接点を探る研究を開始した。 なお、栗本と研究分担者の松田素二は、本研究プロジェクト以外の助成金によって、本研究プロジェクトと関連する海外調査を実施した。栗本は、12〜1月に南部スーダン東エクアトリア地方で、国内避難民と地元住民とのあいだの摩擦と紛争、およびケニアにおけるスーダン難民の生存戦略に関する調査をおこない、松田は、3月にケニアのナイロビにおいて都市に居住する難民の生活世界に関する調査をおこなった。
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[Publications] 栗本英世: "人種主義的アフリカ観の残影-『セム』『ハム』と『ニグロ』"人種概念の普遍性を問う-植民地主義、国民国家、創られた神話(竹沢泰子編)人文. (印刷中). (2004)
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[Publications] 栗本英世: "現代の民族紛争-新たな戦争のかたち"文化人類学(江渕一公、松薗万亀雄編)(放送大学教育振興会). (印刷中). (2004)
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[Publications] 栗本英世: "越境の人類学-難民の生活世界"文化人類学(江渕一公、松薗万亀雄編)(放送大学教育振興会). (印刷中). (2004)
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[Publications] 栗本英世: "文化人類学から考える平和"21世紀の平和学(吉田康彦編)(明石書店). (印刷中). (2004)
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[Publications] 松田素二: "日常のなかの都市性-あるケニア人一族の100年間の都市経験から"<都市的なるもの>の現在-文化人類学的考察(関根康正編)(東京大学出版会). 241-271 (2004)
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[Publications] 松田素二: "国勢調査と民族生成-ケニア"国勢調査の人類学(青柳真智子編)(古今書院). (印刷中). (2004)
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[Publications] 岡崎 彰: "『銃』と『笑い』-アフリカの或る二つの『開放運動』"神奈川大学評論. 45. 88-99 (2003)
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[Publications] Akira Okazaki: "'Making sense of the foreign' : Translating Gamk notions of dream, self and body"Maranhao, T.and Streck, B.(eds.), Translation and Ethnography The Anthropological Challenge of Intercultural Understanding. 152-171 (2003)
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[Publications] 武内進一: "アジア・アフリカの紛争をどう捉えるか"国家・暴力・政治-アジア・アフリカの紛争をめぐって(武内進一編)(アジア経済研究所). 3-37 (2003)
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[Publications] 武内進一: "ブタレの虐殺-ルワンダのジェノサイドと「普通の人々」"国家・暴力・政治-アジア・アフリカの紛争をめぐって(武内進一編)(アジア経済研究所). 301-336 (2003)
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[Publications] 武内進一: "難民帰還と土地問題-内戦後ルワンダの農村変容"アジア経済. 5-6. 252-275 (2003)
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[Publications] 武内進一: "アフリカ大湖地域における難民問題の位相と『人間の安全保障』"アフリカにおける「人間の安全保障」の射程(望月克哉編). (印刷中). (2004)
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[Publications] 武内進一: "ルワンダにおける二つの紛争-ジェノサイドはいかに可能となったのか"社会科学研究. 55・5,6(印刷中). (2003)
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[Publications] 武内進一: "国際シンポジウム「アフリカの『難民問題』を考える」に出席して"アフリカレポート. 36. 31-35 (2003)
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[Publications] 武内進一: "ウォーロードたちの和平-コンゴ紛争の新局面"アフリカレポート. 37. 33-38 (2003)
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[Publications] 松田素二(古川彰と共編著): "観光と環境の社会学"新曜社. 298 (2003)
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[Publications] 松田素二: "呪医の末裔-東アフリカ・オデニョ一族の二〇世紀"講談社. 286 (2003)
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[Publications] 武内進一(編): "国家・暴力・政治-アジア・アフリカの紛争をめぐって"アジア経済研究所(研究双書). 510 (2003)