2003 Fiscal Year Annual Research Report
民族文化の境界領域に関する文化力学的研究-中国西域少数民族の場合
Project/Area Number |
13571019
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
丸山 孝一 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (80037035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 しのぶ 福岡女学院大学, 大学院・人文科学研究科, 教授 (50069770)
東 茂美 福岡女子大学, 人文学部, 教授 (60165074)
坂元 一光 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (20150386)
原崎 聖子 福岡女子大学, 人間関係学部, 専任講師
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Keywords | 少数民族 / 文化力学 / 文化領域 / 文化境界 / 民族政策 / 多言語政策 / エスノセントリズム / 文化相対論 |
Research Abstract |
本研究は異文化共生が要請されるなかで、現実の民族間関係の諸問題を文化力学の視点から観察、分析し、異文化接触のダイナミズムを理論的に整理することを目的として発足した。そのために、主として中国西域における少数民族を取り上げ、特に新疆ウイグル自治区におけるウイグル族、シボ族等を多数派の漢民族との関係において考察した。近年、当該地域はいわゆる西部大開発の対象地として、政府による開発計画が大規模に行われており、その結果、社会経済的変貌が著しい。本研究でもこの社会経済的開発過程を観察することになり、その結果次のような知見が得られた。 1.西部大開発という国家プロジェクトは漢民族を中心とするものであり、現地少数民族の文化に対する異文化接触接触によるアカルチュレーションを引き起こしていること。 2.その結果、従来の民族学校は縮小の方向にあり、漢語による教育を強調するなど、中央集権的国民教育=漢文化化が進行するようになった。 3.特にシボ族の場合、過去200数十年、イスラム文化に囲まれて民族内婚による民族文化の維持をしてきたが、漢民族の大量到来によって両民族間の通婚が顕著になった。 4.シボ族はもちろん、ウイグル族その他の少数民族の漢語使用率増加傾向は官民共に顕著であり、特に、シボ文化は多数派漢民族文化に吸収、同化され、その存続が危機的状況にある。 5.少数民族固有の文化特性は、芸能、歌舞、衣裳等、特定領域に限られ、その一部は官製の観光資源となろうとしている。 このような民族間における文化的力学関係の変貌は、さらに観察、分析される必要がある。
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Research Products
(7 results)