2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国雲南のペー族を中心とするエスニシティの変動に関する人類学的研究
Project/Area Number |
13571026
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
横山 廣子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (30143324)
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Keywords | エスニシティ / 中国西南部 / ペー族 / 歴史 / 民族 / アイデンティティ / 変動 / ミャンマー |
Research Abstract |
国内においては、すでに収集し、写真、ビデオあるいは書写で記録してある文字資料の整理とコンピュータ入力を進める一方、地方志などの文献資料で国内入手が可能なものを収集した。それにより、ペー族を中心とする中国西南部からミャンマーにかけての諸集団のエスニシティを明代以降から現代までの歴史を通して考察するための基礎的資料が整いつつある。 現地調査は、中国とミャンマーにおいて実施した。 中国では、まず貴州省西部の盤県に居住するペー族の歴史とエスニシティの変動に関する調査を実施し、本研究において、明代のペー族を主体とする「土軍」の活動を把握することの重要性が明らかになった。さらに貴州省東北部の松桃県苗族地区では、ペー族の集中する雲南省大理で現在、シンボル的となっている絞り藍染めのある特徴的な文様が、同地区のミャオ族にも存在し、なおかつ、彼らの始祖神話と結びつく重要な文様であると判明した。その歴史、アイデンティテイとの結びつき、分布と伝播の可能性を解明するためには、今後、湖南省西部での調査が必要であることが明らかになった。また、雲南大学において地方志資料の収集を行った。 ミャンマーでは雲南からの移住者の居住するヤンゴン市、マンダレイ市、ミッチーナー市、タウンジー市において、中国系住民全般を対象として、その定着の歴史、他の民族集団との関係、エスニシティとその変動、会館組織、近年の社会経済状況、教育の諸点についての現地調査を実施し、文献および石碑などの文字資料を収集した。中国では現在、ペー族とされる人々と同様の民族的・歴史的背景を有する人々は、ミャンマーにおいては「雲南人」として「漢族」の範疇に埋没している実態が確認された。 以上の成果の報告は現在、執筆中である。
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